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国頭地区消防本部◇(沖縄)

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国頭地区消防本部は、沖縄県の最北端に位置し、那覇市からは約100km、鹿児島県の与論島からは28kmの距離に位置する。国頭村、大宜味村、東村の三村面積を合計すると県下一広大な面積を有する管轄となる。「山原(やんばる)」と呼ばれる当地区の山林は熱帯・亜熱帯の原生林に覆われ世界的にも貴重な特別天然記念物等のノグチゲラ、ヤンバルクイナ、ヤンバルテナガコガネ、琉球ハリネズミ等の生息宝庫となっている。

消防本部発足は、昭和55年4月1日で、北部3村の消防一部事務組合としてスタートした。現在の体制は、1部・1署・1分遣所・38人の職員と1団本部・3分団・55人の団員で、総面積333.03k?uに散在する集落区・43区、人口11,659人の安全と沖縄県民の水瓶(ダム)の山林保全を担っている。

★ 消防相互応援協定

大きな自然災害の被害は少ない反面、米軍人関連の出動等が多い。管内には海兵隊の北部訓練場が配備されており、ゲリラ訓練、 ヘリによる発煙筒投下訓練等による火災出動やヘリ墜落による出動等が過去3件ある。これらの出動は、沖縄県マリン関連地区消防本部とキャンプバトラー消防本部との消防相互応援協定による出動と施設内メディカルスタッフとの協議により実施している。

★ 地域に密着した予防活動

婦人防火クラブ員や民生員と連携し高齢者世帯への防災訪問を定期的に展開し、また、地域で開催される各種イベントに参加し、火災予防を呼びかけている。

★ 水難事故対策

水難事故による救助活動や捜索活動は多く、その対策として、救助艇1・2号を配備すると共に、多くの潜水機材を各隊員に貸与し、実践的な定期訓練を実施し知識・技術の向上を図っている。

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★ 救命率のアップのために

急患搬送は、名護市内医療機関への搬送が95%以上を占め搬送にかなりの時間を要する。このことから、隊員の高度な知識・技術は必要不可欠な要素となる。現在標準課程等はすべて終了し、昨年秋に第1号の救命士が誕生した。平成14年までには5〜6人の救命士を養成する計画であり、平成12年には、高規格救急車による運用開始となる予定である。日本一の長寿の里を抱え過疎地域で高齢化する住民に対し、普通救命講習の受講を徹底し、バイスタンダーによる応急処置の普及を図り時間的なハンディを補い救命率のアップに努めたい。

★ 大規模災害への対応

管内43区の緊急広報や区別の遠隔操作可能な防災無線も導入し、防災情報の提供及び火災予防広報等に活用している。平成7年に大規模災害・大震災消防活動要綱を策定し、少数体制を補うため、各区に消防団を配置し、素早い対応や役割分担を定めている。今後は、隣接消防本部との応援協定による訓練を計画し、大規模災害時の迅速出動態勢の確立を図りたい。

★ 消防団の自主研修

消防団の自主交流研修視察として、平成9年6月に与論町消防団と大親睦交流会を実施し、平成10年は、沖永良部町消防団を訪問予定で、順次北上する計画である。

★ 21世紀への展望

「近い将来、広域に再編成される予定であるが、消防力の根源は「人」である。この重要な時期を担う職員は、崇高な職責を今一度深く認識し、21世紀の消防の新たなる展開に取り組んでほしいし」當山武二消防長は、力説された。

そして消防長の一貫した訓示は、「継続は力なり」その格言を何百回と発し続けてきたと言う。「消防業務は、見えない部署での努力が大切であり、継続して大きな成果を得ることが消防行政の要である。何事にも忍耐強く取り組んでほしい。」と力強く結ばれた。

(小澤 純)

 

 

 

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