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消防職員のための法令用語解説

 

借地借家法(2)

 

6 既存の借地関係の内容

 

既存の借地関係については、「借地法」が適用される。その内容は、次のとおりである。

(1) 借地権の存続期間

借地権の存続期間は、契約で定める場合は、堅固な建物は30年以上、木造等の非堅固な建物は20年以上である(借地法2条2項)。

契約で定めのないときは、堅固な建物の借地期間は60年、非堅固な建物の借地期間は30年となる(借地法2条1項)。

しかし、借地期間中であっても、建物朽廃の場合は、借地権は消滅する(借地法2条1項但書)。大修繕を加えた場合には、通常の修繕が加えられたとしても、本来朽廃したであろうときに消滅する。

「改築」を行ったときは、貸主が遅滞なく異議をのべない限り、存続期間は延長する。その延長期間は、堅固な建物で30年、非堅固な建物で20年となる。異議をのべれば、更新拒絶の正当事由となる。

事情の変更により、非堅固な建物のための借地権から、堅固な建物のための借地権に借地条件を変更する場合は、借地条件変更の裁判による。

(2) 借地権の更新

借地人が更新請求した場合に、貸主が遅滞なく異議をのべないと、建物が存続している限り、前契約と同一の条件で更新される(借地法4条1項、借地借家法附則6条)。この場合の借地期間は、堅固な建物については、30年、非堅固建物については、20年である(借地法4条3項、5条1項)。

借地人が期間満了後、引続き土地を使用している場合に、遅滞なく、地主が異議をのべないと借地権は更新される(借地法6条1項)。

異議をのべるには、正当事由が必要である(借地法6条2項、4条1項但書)。

(3) 正当事由の有無

正当事由の有無については、貸主・借主双方の事情を比較裁量して判断する。

立退料の提供は、正当事由の判断の要素となる。更新料支払いの契約は、無効とはならない。

(4) 残存期間を超える建物の建築

契約により、借地権の存続期間を定めているときは、火災等で建物が滅失したときに、貸主の承諾を得て、残存期間をこえて存続する建物を建築できる(借地法7条)。

この場合には、借地権は、建物滅失の日より起算し、堅固な建物については30年、非堅固な建物については、20年となる。

承諾がないのに、存続期間をこえる建物を建築した場合には、更新の際、正当事由の要素として判断されることになる。

全消会顧問弁護士 木下 健治

 

 

 

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