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り、今後このような大きな行事が催される際には、関係者と綿密な打ち合わせを行い、行事予定内容に不備事項があれば改善を求め、行事開催中でも異変発生時、または、異変発生を予知したならば、何らかの対策を講じる権原の獲得が必要ではないかと思う。

また、今回、臨時救護所での活動の際に付近に設置してあった応急救護所及び救急資材を有効利用することができず、主だった照明装置等がなかったことも活動に困難を極めた一因であるため、今後は予め現地の地形、施設及び資器材等の事前調査並びに事故想定訓練を実施することが望ましく、さらに、事故発生時の職員の役割分担計画、消防資器材の整備、情報及び命令伝達方法の改善、緊急時の道路確保等を検討することで、事故発生時の初動体制をはじめとする活動全体が、的確かつ迅速に行えるのではないか。

おわりに

本部では事故の教訓を踏まえ、負傷者の同時多発による活動計画の検討会を開催。前記問題点を中心に数々の改善策を検討。また、今後も各種検討会を開催して、さらなる消防力の強化を図る所存である。

最後に、今回の事故で死亡者発生などの最悪の事態に至らなかったのは、関係者をはじめ、現場に居合わせた観客の一般市民及び看護婦等のボランティアによる協力で、負傷者の処置及びトリアージを行うことができたためと感謝している。 (石津 努)

 

予防・広報

ふる里防災都市をめざして

長生郡市広域市町村圏組合消防本部(千葉)

 

はじめに

長生郡市は房総半島のほぼ中央東部に位置し、西は半島中部を縦断する千葉市境の山麓から、東は白砂と荒波寄せる九十九里浜まで、また、北は山武郡、南は夷隅郡に隣接している。

管内は、茂原市を中央にして、三方を5町1村が包囲するように取り巻き、地形的には大別して丘陵地域、中央地域及び海岸地域に区分され、特に中央地域は古くから良質の天然ガスが自噴し、これを燃料や原料として使用しての内陸工業が発展してきた。

また、温暖な気候と地形を生かし農業や施設園芸の他、テニス・ゴルフ等のレジャー施設や近年は首都圏のベッドタウンとしても定着し、平成6年9月には地方拠点法の地域指定のもとに、その基盤整備が推進されている。

当消防本部は、昭和29年に茂原市消防本部として発足したが、その後、昭和45年に広域事務処理の指定を受け、翌46年に長生郡市広域市町村圏組合消防本部として発足した。現在、1市5町1村を管内として、1本部・4署・4分遣所、職員数208人の体制で業務を行っている。

また、消防団においては、昭和49年に当消防本部と同様に広域消防団として整備され、1団本部・9支団、団員数1,491人で、職・団員が一体組織として管内人口16万人余りの生命・財産を守っている。

1 近年の管内災害と広報

当地は古くは元禄地震や関東大震災による被害が甚大であったと記録されているが、以来、水害はあったものの、温暖で災害の少ない住みよいところとして自負していた。

ところが、ここ10年来を省みると、昭和62年12月に震度5の「千葉県東方沖地震」をはじめとして、平成元年の大雨災害に続き、翌平成2年12月にも国内最大級といわれた

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