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生まれ、最近は住民側から積極的に防火・防災訓練をする申込みが増えてきた。

2 一般家庭の防火指導

一般家庭の防火診断を昭和50年から実施してきたが、建物火災の原因で大きな比重を占めていた火を使用する器具や、設備自体の構造的欠陥による火災が減少している反面、人の火気取扱い不注意による火災が増加し、火に対する考えが甘くなってきている。

「火事のない町づくり」を目指し″人″が火災の原因だという観点にたって、火を取扱う機会の多い婦人を対象としての婦人防火クラブや、幼少年の防火教育を目的とした少年消防クラブ、幼年消防クラブを組織し、一般家庭の防火を重点に防火座談会・消火実験・防火映画等を通じて「我が家から火事を出さない」運動を展開している。

?@婦人防火クラブ 59(2,597人)

?A少年消防クラブ 7(630人)

?B幼年消防クラブ 12(677人)

(1) 独居老人宅の防火診断

高齢化の進む当地では、毎年2月に社会福祉協議会のヘルパーさんと共に、1人住まいの老人宅を訪問し、火気設備・器具等の点検、防火指導、また緊急時の心配ごと等についても相談を行っている。(写真)

(2) 防火パレード

春・秋の火災予防運動期間の恒例行事として、管内の小学校の少年消防クラブ(5・6年生)が、音楽隊を先頭に校区内の防火パレードを実施し、地域住民に防火チラシ・花の種等を配り防火を呼び掛けている。

これには、消防署は勿論、町役場・消防団・警察の応援を得て地域に根づいている。

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3 事業所の防火・防災

当消防本部には、管内の危険物事業所等で組織する「危険物安全協会」の事務局を置いており、防災関係機関並びに協会員相互の連絡協調を図り、防火防災思想の普及徹底及び消防設備の整備充実を期し、危険物等による災害の未然防止に寄与することを目的に、防災に対し業界の体制と消防の体制を密にしている。

?@ 毎年、県総合防災訓練の見学を実施

?A 事業者参集の保安教育及び訓練の実施

おわりに

当消防本部が設立される以前は、町の消防団の防災体制で、各地域には団員が存在していた。住民の火に対する意識も非常に高く、当時、電気・ガス機器類も発達しておらず、物の大切な時代背景があった。住民は消防団を愛し、自ら防火意識を常に持っていた。

現在は生活環境も変わり″住民は何事も行政が行ってくれるもの、家電機器等は安全対策が施され安全″と思い込み、依存する風潮にある。

これからの消防は、これら住民意識の改革は基より、住民の生命・財産を守るために行政と職場及び住民が一体となって、防災に対応しなければならないと痛感する。そこで、当地の田舎特有の近所付合いのよさを活かした地域コミュニケーションを大事に、住民全員が防災意識を再認識してもらい、お互い「自分の家から火を出さない」に気をつけ合うよう予防行政を進め、「官民一体となった防火体制」を目指して、予防・広報活動を推進して行きたい。 (中野 薫)

 

 

 

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