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上においてCPA患者に対する特定行為の実施、重症患者に対する高度な応急処置の実施のために、指示医療機関にて病院研修を実施(年4回で12日間)し、同じ救急救命士でありながら個人にレベル差が出ないようにしている。また、医師・看護婦等の関係者との連携、信頼関係の構築にもつながっている。

おわりに

全国的にも「蘇生率は上昇しても社会復帰率には変化がない。」という現状を踏まえ、バイスタンダーによる応急処置が実施されていないと現状の救急体制では、社会復帰を目的とした救命は、非常に困難な状況である。このため、応急手当普及啓発活動「普通救命講習会とを実施しているが、今後、更に応急手当のエキスパートの育成と、プレ・アンビュランス・ケアを推進し、バイスタンダー・救急隊・医療機関の三位一体となった継続的な処置をし、救命率の向上と傷病者の現在の状況と、今後の様態変化を予測できる鋭い観察力と的確な判断も併せて身につけるよう、知識と技術の向上に努めて行きたい。

(有賀 正一)

 

予防・広報

官民一体となった防火体制をめざして

板野西部消防組合消防本部(徳島)

 

はじめに

当消防本部は、徳島県の北東部にあって板野郡の中央部に位置し、東に鳴門市、西に吉野町と土成町、南に藍住町と吉野川の清流、北は阿讃山脈を背に香川県と接している。

構成は板野町と上板町の2町であり、管内の面積は70.69k?u、このうち山林が32k?uを占めている。人口は約27,000人、1本部・1署に職員が35人と、両町に消防団10個分団・240人の消防体制で、防災に関し一致団結して職務にあたっている。

地形は、阿讃山脈に源を発する中小河川からの上砂の流出による堆積層によって形成された扇状地と、これら河川の流れを集めた宮川内谷川及び吉野川沖積層の平坦地に大別することができる。なお、管内の阿讃山脈には東西に中央構造線という大きな活断層が通っている。

産業は、豊かな水資源に恵まれ肥沃な土壌を利用した農業が中心で、京阪神方面の重要な農産物の供給基地となっている。一方、阿讃山脈南麓の丘陵地に工業・産業の集合体「アナンインダストリアルパーク」が大規模に造成中で、現在この一帯では急速な開発が進行中である。また、管内には四国88箇所霊場の2番札所から、6番札所の4箇寺が点在している。

このような地方の特性を持つことから、当消防本部の予防行政は、災害に備え地域のコミュニケーションを大切にした防災確立をめざし、主に次のような行事に取り組んでいる。

1 町内の自主防災活動

火事は火元だけでなく、隣近所にも影響を及ぼす社会的な災害であることをみんなで自覚し、町民一人ひとりが防火に意を用いるとともに、地域住民が一致協力し「私達の町は私達で守ろう」という自主的な防火意識を持ち、町内会等の自主防災組織において自主防火活動を実施するよう指導している。

阪神・淡路大震災以後、町民の防災に対する気運も高まり、各地区の自治会等の結束が

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