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消防最前線

 

既に4棟が延焼中であり、内2棟は最盛期を過ぎて、屋根は落ち柱が数本立っているのみで火元の棟は確定できない状況であった。

消火作業は、集落入口にある唯一の20t防火水槽に、地元消防団の小型動力ポンプ付積載車が水利部署し注水作業中であったが、水量は10t余りしか残っていなかった。

自然水利には、地元消防団の小型動力ポンプ付積載車が水利部署し、わずかしか流れていない谷川の水と、火災現場から谷川に流れ込んだ水を土嚢でせき止め、残り少なくなった防火水槽に補給を続けた。

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署先着隊2隊が到着時、取水可能な水利は現場近くにはなく、やむなく約650m離れた他集落の20t防火水槽から中継送水を準備中、住民から、「集落前の谷川上流に取水可能な水たまりがある。」との情報を得、署ポンプ車1台を配備した。

中継送水は元ポンプの消防団車両から、先ポンプの署ポンプ車まで約650mを、消防車両4台・ホース36本で中継送水し、注水した。

非番隊員が、続々登庁しているとの連絡を受け、小型動力ポンプ付水槽車の出動を要請した。水槽車は、現場から2km先の河川から取水し、空になった現場の防火水槽に補給を繰り返し行った。又、飛火により裏山の杉林に延焼し、可搬式散水装置を装着した消防団員15人で消火活動を行った。

 

おわりに

本火災は、小規模消防本部における消防団との緊密な連携による消火活動により、1人の死傷者を出す事なく、3時間余の深夜の消火作業を乗り切ったが、今後、更なる常備消防と非常備消防の合同訓練の必要性等を痛感させられた。

又、消防団・消防署車両の混在した中継送水では、消防団車両に無線が積載されていないため、各車両間の情報伝達に当初混乱も見られた。しかし、携帯電話の普及が急速に進んでいる今日において、消防団員個人がもっていた携帯電話を、消防無線の代替えとして利用することで、スムーズな中継送水ができるようになった。

過疎化の進展が急速に進み、小規模集落が増加傾向にある当本部管内では、消防水利が防火水槽のみで、渇水期に谷川等の自然水利が利用できない地区が数多くある。このことから、今回の火災の教訓も踏まえ、今後も水利調査・訓練・警防活動に万全を期していきたい。 (林 勝弥)

 

救急

高規格救急車運用の現状

須賀川地方広域消防本部(福島)

 

はじめに

当消防組合は、福島県の南部に位置し、1市5町4村で組織し、管内面積は993.06K?u、人口は、約150,000人である。

管内には、東洋一のボタンの花が咲き誇る「須賀川位丹園」、日本三大火祭りのひとつと言われる「松明あかし」が有名であり、福島の″空の玄関口″である福島空港がある。その他に石川町の母畑温泉、天栄村の湯本温泉・二岐温泉など、温泉地としても古くから知られ、湯治客で賑わっている。

 

 

 

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