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消防最前線

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火災

異常乾燥下の山間の住宅火災

串間市消防本部(宮崎)

 

はじめに

串間市は、宮崎県の最南端に位置し、77kmにも及ぶ海岸は、太平洋を望む日南海岸国定公園内にあり、黒潮の恵みを受け県内有数の磯釣りのメッカとなっている。

国定公園内の都井岬に生息している野性馬は、昭和28年、国の天然記念物に指定され現在90頭。人間の手を借りず、大自然の摂理のままに生命の誕生から一生をおくる野生馬の威風堂々としたその姿は、私たち人間を魅了するものがある。

当市の消防体制は1本部・1署、消防職員35人、消防団1団・6分団・745人で管内人口24,000余人の、生命・身体・財産の保護と、複雑多様化する各種災害に対処している。

ここに紹介する火災事例は、山間部の傾斜地に立地する小集落で発生し、限られた水利の状況下で3時間を超える消防活動を要し、12棟を焼失した火災である。

1 火災の概要

(1) 発生日時 平成9年10月21日(火)

午前1時30分頃

(2) 発生場所 宮崎県串間市大学大平

(3) 覚知時間 午前1時43分

(4) 鎮火時間 午前4時55分

(5) 対象状況 天候 晴

気温 14℃

湿度 89%

風向 北北東

風速 4m

(6) 損害状況 住宅5棟・作業場等7棟

計12棟を全半焼

焼損面積1,241.58?u

損害額 81,313千円

(7) 出動車両及び人員

消防署 ポンプ車  2台  8人

水槽車  1台  2人

指揮車   1台  4人

消防団 ポンプ車  1台 12人

積載車   6台 94人 

可搬ポンプ 1台 5人

2 付近の状況

現場は、串間市街地より北方向13km、山間の日当たりのよい高斜面の、世帯敬10世帯の小さな集落であり、内5世帯は軒を接して建っていた。

3 水利の状況

水利は、現場から30mの集落人口に設置してある20tの防火水槽と、集落と並行して流れる谷川の自然水利のみで、頼みの自然水利も、渇水期で火災発生前の46日間、一滴の雨も降らず、川底を見せ、やっとポンプ車1台が取水可能な状態であった。

4 活動の概要

21日1時43分、消防署通信指令室で119番通報を受信。当務隊員8人が2台のポンプ車で出動した。

出動途上、進行方向上空に火炎上昇を認めた。その大きさから、延焼拡大の恐れが大であると判断。ただちに地元消防団の出動を要請するために、サイレン吹鳴と、非番隊員の招集も併わせて要請した。

通報から16分後、署先着隊が現場到着時、

 

 

 

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