日本財団 図書館


算機上のシミュレーションの結果、概ね70%を不燃領域として確保すれば全域延焼の危険性はなく、50%前後を境として、全域延焼の危険性に変わるというものである。橘モデルによるランガム配置のシミュレーションやパーコレーション理論による解析的な分析が行われている(図1)。

しかし、マクロな定性的な基準値であり、地区・街区のようなミクロな区画での評価には限界がある。建物の規模・配置や大規模空地の存在の有無、領域の設定など詳細な評価が必要となる。

 

第四章 防災まちづくりの評価に向けて

008-1.gif

 

008-2.gif

阪神・淡路大震災の教訓を受け、災害に強い市街地整備の必要が叫ばれはじめた。東京都では、木造密集市街地整備等における防災性の向上を目的とし、防災都市づくり推進計画を策定し、基本計画(平成7年)に基づき「木造住宅密集地域整備プログラム」(平成8年)が作成され、重点整備地域から防災上の整備効率等が高い地区を11地区選定し20年の期間で集中整備を図ろうとしている。(図3)また、建設省にあっても、平成9年に「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」(「密集法」)が制定され、さらに、都市防災構造化推進事業が創設され、本格的に街区レベルでの整備が行われようとしている。(図4)これら街区レベルでの整備計画策定にあたっては、

?@危険度評価     ?A評価の公開

?B住民による防災診断 ?C整備計画の策定

というステップで推進される必要がある。特に重要なことは、危険度評価の公開と地域住民の積極的参加による計画立案である。以前の防災計画が、例えば都市防火区画のような規模のものであれば道路整備という公共インフラの整備が中心であり、地域住民に直接情報を公開し計画を立案する必要はなかったが、今後の街区レベルでの防災まちづくりには危険度評価の公開と地域住民の積極的参加が必須のものとなる。また、総合的なまちづくりの観点から立案する必要があり、防災の側面からだけの立案は避けるべきであり、住民の目からの地域の診断から計画立案へと参加を促すプロセスは必須なものとなる。(図5)

危険度評価において次のようなことが解決されるべき課題として残されている。

?@ 危険度評価手法の街区レベルに適応したものである必要がある

例えば、東京都の木造住宅密集地域の整備方針として、木造建物棟数率、老朽木造建物棟数率、住宅個数密度、不燃領域率の4つの指標を用いて評価しているが、特に、不燃領域率を具体的に算定するに当たっては、マクロな視点からミクロの視点での修正が必要となっているし、また、不燃領域率40%を早期確保水準としているが、木造密度との関係と評価対象街区の規模を加味して評価をしなければならない。

?A 街区の整備計画を評価できるミクロな評

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION