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価手法である必要がある例えば、延焼遮断を街区レベルでの街路により効果を挙げようとする場合、現行の評価式での火災規模はやや過大すぎるし、また沿道の不燃化と絡めて評価をする場合、建物の詳細な形態や沿道の植栽などさまざまなデータを必要としこれらの組み合わせにより最適な整備計画を立案する必要がある。そのためには、これら微細なデータの変化に適用できうる評価手法である必要がある。また、必然的にGIS(地理情報システム)の利用が促進されるべきであろう。

?B 既存のGISとの連携が図られるべきであり、また、広範に活用できるデータに基く評価手法である必要がある。

街区レベルでの微細なデータを利用し、それらの組み合わせから最適な整備計画を立案するには必然的にGISの利用が図られる必要がある。また、樹木など必要なデータそのものの整備も必要となるかもしれない。 一方、 一般の自治体においてもこの計画を推進するためには、簡易に既存資料だけでも判断が可能となるシステムの設計も必要となる。

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第5章 今後の技術開発の方向について

 

大地震の被害の軽減において市街地の整備が最も重要であり、その実現に向け多方面からの努力がなされてきた。昭和40年代の「命だけは守る」ための防災拠点の整備、その後の地区を火災から区画し幹線道路の不燃化を推進する都市防火区画化の試みがなされてきたが、これらはいわば点と線の対策であり、公共インフラの整備であった。勿論、防災街区の整備、再開発や区画整理などの面開発も防災の側面を色濃く持ちながら推進されてきた。しかし、防災政策の重要性の判断から計画されることより、事業の採算性や住宅地の環境改善の側面から推進されてきた。このことから、防災上の評価に基づき、地区の改善を行うことが今後ぜひとも必要となってくるのである。そのためには、地区の単位で評価し、整備に結び付けていく技術が急務となっているのである。マクロな評価技術は主に、昭和50年代に建設省の「総プロ」により一応の完成をみているが、より小さい地区の評価には適用が困難な点が多くあり、また、地区の具体的なまちづくりへの結びつけにおいても、技術だけでなく、事業をコーディネイトしていく人、組織を作っていくことも重要である。そのためには、民間や自治体が積極的に技術開発自体に参加し、実践を通じて技術開発にフィードバックしていくことが欠かせないと思われる。

最後に、評価手法が時代に応じて推移し改善を重ねていることは明らかである。また、その途上にあっては一定の限界を持っていることも事実である。しかし、評価技術が自治体、国の防災対策の指針を定め、実際の事業を推進する1つの力となってきたことも事実である。今、新たな防災対策の局面が展開しそうな時期に当たって、時代推移を見つめ、今後の必要な技術とは何かを眺めてみることも必要なことではなかろうか。

 

 

 

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