千葉県の最北部、利根川と江戸川の分岐点に位置する関宿町は、東西4km、南北12.4kmの細長い町である。
地形は概ね平坦で、最高位でも海抜15.6mしかなく、中央部は台地で畑作地帯に、利根川沿いは低地帯で水田が開け、江戸川沿岸には狭い谷津田が点在している。
管内面積は29.82k?u、人口約32,000人で、豊かな自然環境を活かしリバーパークタウン・せきやど「水と歴史のふれあう交流都市」の実現に向け、快適で魅力あふれるまちづくりが進められている。
消防本部の発足は平成元年10月で、現在1本部・1署、須賀消防長代理以下42人の職員と、16分団・328人の消防団員が、住民に親しまれる消防を目指して日夜活躍している。
★水との戦い
水運の要衝・関宿町は、水によって潤ってきた反面、水に泣き、水と戦ってきた歴史の町である。
最も古い水害の記録は、鎌倉幕府編さんの「吾妻鏡とによる承久2年7月の大洪水である。最近では昭和22年9月の大洪水(カスリーン台風)で、利根川や大小の河川の堤防が決壊し、下総地方だけでも死者は2,247人にも上った。その2年後の昭和24年にも利根川が氾濫(キティ台風)し、各地で大被害が発生した。
当本部では近隣の消防本部と、水防活動の強固な連携協力体制を確立し、防災の任に当たっている。
★消防団との連携体制
昭和30年7月、関宿町・二川村・木間ケ瀬村が合併し関宿町となり、同時に関宿町消防団が誕生して以来、同団は水火災の消防活動はもとより、地域防災のリーダーとして火災予防の啓発にも携わって活躍しており、さらに平成七年九月以降は、応急手当ての普及活動の一環として普通救命講習の受講を積極的に行っている。
★愛称はヘルプくん
当本部では、交通事故や水難事故などの各種救助事象にいち早く対応できるよう、日本損害保険協会に救助工作車を要望していたが、今年3月に寄贈の決定がされ、先日受納式が行われた。救助工作車には、重量物排除器具、切断用器具、ウィンチ、救命索発射銃など多くの救助器具が積載されている。
救助工作車の配置を記念し、町民に親しんでもらえるよう、消防職員や団体から名称を募集し、その中で最も多かった「ヘルプくん」に愛称が決定した。
★文化財を火災から守る
管内には、千葉県指定文化財の親鷺聖人坐像外が安置された中戸山常敬寺をはじめとする、多数の神社・仏閣が存在することから、当本部では毎年、文化財防火デーの時期に関係者と一体となった防災訓練を実施し、歴史的遺産の保護に努めている。(写真)
★幼い時から火災予防
幼児の頃から防火に対する意識を高めるため、平成4年5月、町立の北部・中部・南部の3幼稚園の幼年消防クラブが合同で結成式を行い、さらに平成5年6月、私立関宿幼稚園が結成式を実施したことから、現在4クラブ431人の体制となった。
年間の活動としては、防火七夕祭り、消防庁舎の見学、各園で行われる運動会でのパレード・アトラクション、出初式への参加などを実施している。(写真)
須賀消防長代理は、「関宿消防は発展途上であり、各種研修に職員を積極的に派遣している。職員各自が、プロ意識を持って消防の任務達成に最善を尽くしていきたい。」と力強く語られた。
(加藤 正美)