の出動も要請。さらに出動可能な場合の通信連絡は防災波を使用する旨連絡したが、「悪天候であるため現時点でヘリコプターの飛行は判断が難しい」との海上保安部の回答であった。救助隊長は2次災害防止のため現場周辺の警戒及びヘリコプター飛来の際の臨時ヘリポートを近くの駐車場に設定するよう隊員に指示し、ヘリポートに救急隊(高規格救急車)を待機させるとともにヘリコプター誘導員を配置した。
時間の経過とともに海上のしけは益々激しくなり、各隊員の緊迫感が増す中、風を考慮しKS12型救命索発射器の設定、可搬式ウインチによる展張ロープ係留点設定、救助用プリチェスブイの作製等、署救助隊・救難所員は協力し救出準備を進めた。
そんな中、プリチェスブイ救出の準備完了とほぼ同時に、海上保安部より「ヘリコプターの飛行は可能であり現在出動準備中である」と連絡が入る。救助隊長はプリチェスブイ救出を一旦停止し、隊員に対しそのまま救助待機の指示を出すとともにヘリポートへの増員を行った。
13時46分、海上保安部のヘリコプターが現場上空へ到着。救助隊長は直ちに、防災波により孤立者の状況及び臨時ヘリポートについてヘリコプターへ情報提供し、ヘリによる救出方法について確認する。13時49分、救助活動を開始し孤立者を2人ずつヘリコプターへ収容。3回の収容作業により6人全員がヘリポートへ救出され、待機していた救急隊により傷病程度の確認を行い、病院への搬送は必要無く、救助を完了する。
おわりに
今回の救助事例は、釣り人の海洋気象に対する認識の甘さから起こったものであったが、幸いにして6人全員が無事救助された。
救助において消防署救助隊は準備段階で終了したが、当管内には日本水難救済会大社救難所という漁業関係者で組織される非常勤の海難救助隊があり、毎年消防署との合同訓練を重ねている。今回も素早い出動と指揮統制の取れた活動により署救助隊との連携は非常にスムーズに行われた。
結果的に本件要救助者は海上保安部のヘリコプターにより救出する事が出来たが、天候の状況によってはその飛行が不可能な事が十分考えられる。
今後も大社救難所をはじめ、民間ボランティア組織との連携を深め官民一体となり、我々海難救助隊はあらゆる有事に対し地域住民の負託に応えられるよう日々努力する決意をしている。
(遠藤 良二)
予防・広報
安心して住める都市づくり
館林地区消防組合消防本部(群馬)
はじめに
本消防組合は、群馬県の南東部に位置し、南に利根川、北にその支流である渡良瀬川が流れ、大小の池沼が点在し、清らかな水と豊かな緑につつまれた美しいまちである。16世紀には館林城が築かれ、城下町として栄えた歴史あるまちで、館林城主徳川綱吉は後の徳川五代将軍となった。
当地域を代表する県立つつじが岡公園では、四月中旬から五月上旬にかけて20種余り、約1万本のツツジが開花し、その規模は世界一で、その鮮やかな美しさは息をのむ程である。中には樹齢680年余、高さ5mにも及ぶ古木がある。
当地区は、館林市・板倉町・明和村・千代田町・邑楽町の1市3町1村で構成され、管内人口は146,000人、面積は175.89k?uで、農業を中心としていた地域であったが、工業団地造成誘致に伴い大手ビール会社等のさまざまな企業が進出し、急速に飛躍成長した地域である。また今年の4月から管内の板倉町に東洋大学の新学部が開校し、付近は大学を中心とした学園都市として変貌をとげている。
一方、消防をとりまく環境は、建築物の密集・高層化が進み、災害発生要因は増大し、より一層の消防体制の充実強化が求められている。
当組合の消防体制は1本部・1署・4分署・2出張所、175人の職員を配し、消防団員668人とともに、地域住民にとって安心して住める都市づくりを目指して、消防防災活動に積極的に取り組んでいる。
1 防火へのめばえ
管内の小学校・中学校には少年消防クラブ