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消防最前線

 

救急・救助

釣り人6人高波で動けず孤立

大社町消防本部(島根)

 

はじめに

大社町は島根半島の西端に位置し、西北に日本海を擁し、南に出雲平野を望む風光明媚な人口17,000人、管内面積42.44k?uの町である。

当町には日本で最古最大の神社建築、縁結びの神として名高い出雲大社をはじめ、国立公園指定の日本海沿岸には、東洋一の日御碕灯台がそびえ、年間をとおして多くの観光客が訪れる神話とロマンにあふれる観光の町である。

消防体制は1本部1署、職員数28人で、地域住民の安全はもとより、本町を訪れる観光客の安全を守るべく日夜消防業務に励んでいる。

ここに紹介する事例は、日御碕灯台付近において磯釣り中の6人が折からのしけにより岩場に孤立し、陸岸へ帰れなくなった海難事故の救助活動事例である。

 

1 事故概要等

(1) 発生日時 平成8年11月17日(日)

11時00分頃

(2) 覚知時間 11時35分

(3) 発生場所 大社町日御碕灯台北約150mの海岸

(4) 救出時分 13時57分

男性6人(29歳〜67歳・負傷者無し)

(5) 気象状況 天候雨、気温14℃、湿度57%

風向南西、風速6m/s

 

2 出動人員及び車両

救助資器材搬送車 1台 3人

高規格救急車   1台  3人

指令車       1台  2人

ポンプ車      1台  3人

その他       大社救難所日御碕支所員40人

3 活動概要

11時35分「日御碕海岸左近において、海上しけにより釣り人6人が孤立している模様」との指令を受け直ちに出動。

また災害覚知後、日本水難救済会大社救難所日御碕支所に救難所員及び救助船の出動要請をする。

出場途上本部より「海上しけのため救助船で孤立岩へ接岸することは不可能である」と無線連絡有り。各隊員は孤立者が全員無事であること、これ以上天候が悪化しないことを祈り、陸岸からの早期救出に身を引き締めた。

現場である日御碕までの約8kmの道程は起伏の激しい曲がりくねった海岸道路で、その大半が入り組んだリアス式の海岸線となっており、山陰地方でも屈指の磯釣場として多くの釣客が訪れる所である。今回の事故現場は海岸道路終点に位置する日御碕灯台北方の海岸で、陸岸より12mのところにある小さな島(東西15m・南北5m。海面からの高さ約7m)で、島までは海面より突き出た3箇所の岩を飛び移りながら渡ることが可能である。

11時54分現場到着後、救助隊長は直ちに要救助者の状況を確認、孤立した6人は岩場の高所くぼ地に身を寄せ合い避難しており、現場は西の風が強く波高4〜6mであるが、孤立岩上部へは波は達していないため、現時点で孤立者が波に呑まれることは無いと判断。さらに拡声器により孤立者の負傷の有無を確認し、6人に怪我等はなく救助ロープを孤立者が取り込むことが可能であると判断。各隊員にブリチェスブイによる救出を指示し、救助隊及び先着の大社救難所日御碕支所員を部隊編成するとともに、拡声器により孤立者に対し救出方法の伝達と波高に注意しその場を動かないよう呼びかける。

また、陸空両面からの救助も考慮し本部に対し、第8管区浜田海上保安部のヘリコプター

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