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また、ストレス加重状態の職員に対しては、上司として理解とサポートを与えることなどは、職場のストレスの軽減要因として働く。

仕事の適性さをはかり、自由で助け合う雰囲気、決めたことの実行気風など、良いリーダシップを発揮して仕事への満足度を高めることが、職場のストレス要因を職場の活性化へと転換して利用できるようになるであろう。

 

4 リラクゼーション法の実際

ストレスを解消し、リラックスする手法を習い、毎日行うと効果がある。スポーツや趣味も上手に用いるとストレス解消に役立つ。

その他、各種の健康体操や自立訓練法、ストレッチング・瞑想法・ヨーガ・座禅などがある。

どのようなリラクゼーションの方法も、呼吸の仕方が基本になるので、姿勢を正しくして、ゆっくりと深呼吸するだけでも十分リラックスできる。その際には、できれば腹式呼吸をした方がより効果がある。

(1) 正しい姿勢(椅子に腰掛けた場合)

ア 頭のてっぺんを持って引き上げられる感じで、背骨をのばす。

イ 軽く顎を引く。

ウ 下腹を前に突き出すようにして、腰骨を立てる。

工 骨盤が椅子の座面に対して水平になっていることを確かめる。

(2) 腹式呼吸の確かめ方

ア 椅子に正しく腰を掛け、両手の指先を軽く重ねて、臍の上に置く。

イ 腹を膨らませるようにして深呼吸をして、重ねた両手が前後に動くのを確かめる。

(3) 腹式呼吸の練習の仕方

ア 椅子に正しく腰掛けて、息を吐きながら上体を前に倒す。

腹に軽く力がかかるようにして、息を吐ききる。

イ 次に、息を吸いながら上体を起こし、腹にも十分息が入っていることを確かめる。

ウ この二つの動きを繰り返す。

工 十分に腹式呼吸が出来るようになったら、体を前後に動かさずに、正しく腰掛けた姿勢でゆっくりと、静かに腹式呼吸を続ける。

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(4) 心の安定

癌などの病気やストレス状況に打ち勝つ体の力、つまり免疫力と心の関係について、精神神経免疫学という分野で研究が進められている。

そこでは、癌やストレスに対抗するためには柔軟な精神態度が好ましく、いつまでも1つの物事にくよくよとこだわる態度は免疫力を弱め、病気にかかり易くすると言われている。

研究者のコバサは、この二つの相反する態度を、それぞれ変換性と退行的対処とよんでいるが、疎外と無力感を克服し、免疫力を高めて、ストレス状況に対処するための心の変換的態度にとって大切なのは、次の「三つのC」である言っている。

すなわち、commitment(献身)・control(制御)・challenge(挑戦)であるが、これは次のように言うことができると思う。

つまり、ストレス状況では、「好奇心を持って打ち込み、自分が影響を及ぼし、成長する機会」であるという信念を持ってあたるということであろう。

そのためには何よりも心の安定が大切で、呼吸のコントロールによるリラクゼーションで、心と体を整え、健康で毎日過ごすようにしたいものである。

 

 

 

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