期であるとも言えるであろう。
(2) 人生の節目で振り返る
毎日の日常生活は忙しく、なかなか自分の心の中まで振り返る余裕がない。しかし、人生の節目ごとに、これまでの自分の人生において出来たこと、出来なかったことを整理してみることも、次の人生の段階での目標を定めて、充実して生きてゆくために役に立つことと思う。これを人生の棚卸しと呼んでいるが、人生上の問題につまずき心の病になる人のなかには、このような人生のそれぞれの段階で片づけて置かなければならない問題を引きずって悩んでいる人をよく見かける。例えば、「いつまでも親から精神的に独立できずに、何かと親や他人に頼ってしまう。自分の父親を恐れるように上司を避ける、事ごとに反抗する。家族や部下の世話ができない。異性問題を繰り返して起こす。自分の問題の解決を避けて酒やギャンブルでまぎらわす。」などである。
(3) 最近の職場問題の傾向
いわゆる性格上の問題のなかには、このような人間としての成長や成熟に関する問題が含まれている。それぞれが一生の課題として担い解決してゆく事柄であると思うが、最近の相談内容からうかがえることは、対人関係でうまく行かない、周りとしっくりゆかない、どうしたら良いかといった悩み事の相談が年代をとわず増えてきていることである。このようなタイプの人達は、生真面目で、優しく、物事をきっちりしないと気がすまないといった性格傾向をもっている。人間関係では周りに気を使うが、他人がどのように感じているかがなかなか膕めない。ひとの話を言葉どうりに受け取り、内容や含みが理解できない。つまり自分の物差しだけで他人や物事を計ろうとする。
このような場合は、悩み事を聞いているだけでは解決に結びつきにくく、具体的に解決法を教えるとか、ものの見方や、感じ方、自分の考え方、それらの言い表し方などを、訓練してゆくといった方法が必要になっている。
年代の差からくるギャップが職場では問題にされてきたが、最近は同じ世代でも何となくズレを感じて対人関係がギクシャクするといったことがある。現代という時代のもつ生きにくさ、また人間として成長しにくさ、成長させにくさがあるのかも知れない。
3 ストレスと付き合う方法
ストレスと付き合う(ストレス・マネジメント)には、まず、ストレスを知ることから始まる。そして、自分に適した付き合い方を見つけることになる。
自分の人生のなかで、これまでに出会ったストレスに、どのように対処してきたかを知ることは、ストレスを知り、自分を知って、ストレスとの付き合い方を広げてゆくためにも重要なことになる。
(1) 時間と空間のマネジメント
職場や家庭などで過ごす自分の時間、それに自分の一生の時間も限られている。「時間がなくて困る。」「何に時間を使ったらよいかわからない。何も面白いことがない。」などは共にストレス状況である。仕事や生活の空間(仕事場・家・車など時間をついやすすべての場所)と時間を次の表にしたがって、整理しなおしてみよう。