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◇大子町消防本部◇(茨城)

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大子町は茨城県最北西部、北は福島県、西は栃木県に接し、首都圏の約130km圏に位置している。当町の面積は325.78k?uと県全体の約20分の1を占める広大な町であり、約80%は八溝山系の山々からなる山岳地である。また、県内最高峰八溝山や男体山の名山、日本三大瀑布の袋田の滝、町の中央部を縦断する久慈川の清流など奥久慈の美しい自然と圏内随一の温泉郷を擁し、各地から年間160万人以上の観光客が訪れる。さらに、この豊かな自然資源を生かし「水と緑とロマンのまち、奥久慈やすらぎの里・大子町」を目指した町づくりを進めている。

昭和44年4月に発足した当本部は、1本部・1署、39人の職員と、1団本部・12分団、540人の団員が、人口25,529人の地域防災の任にあたっている。

当町は面積が広く、山間の奥まで人家が散在するため、災害現場到着にかなりの時間を要するところも多く、現着時に棟落ちしている火災も珍しくない。また、救急出場に際し、覚知から現場到着までの所要時間は平均8.5分と全国平均を上回っている。

★みどりの日は「防災の日」

平成4年4月29日は強風乾燥注意報発令下に発生、山林23haを焼失した火災を契機に、林野火災「防災の日」として定め、毎年林野火災対応訓練を実施している。

★袋田温泉「長生閣」火災

昭和50年10月5日、大正12年建築の3階建て木造旅館と従業員寮2,286?uを全焼し、宿泊客151人全員が無事避難した火災である。火元が3階であったこと、ガードマンと従業員6人が的確な避難誘導を行い、団体客の統率した避難が全員無事避難へとなった。

当時の新聞に大々的に報道され、従業員等の冷静な行動と活躍が賞賛された。昭和40年代から昭和50年代はホテル・旅館火災が各地で発生し、多くの人命が奪われる中で、本件火災は木造大規模火災にかかわらず死傷者がなかったことは特筆すべき火災であった。

★全国婦人消防操法大会出場

予防消防に力を入れ火災の未然防止に努めている。特に、昭和59年から民間防火組織の育成指導に力を入れ、幼年消防クラブ8団体、少年消防クラブ1団体、婦人防火クラブ4団体が組織された。各クラブは年間行事計画のもと避難訓練や防火教室を開催し、防火パレードや広報活動を通じ、防火思想の普及に努めている。(写真)

昨年は、山田婦人防火クラブ員が全国婦人消防操法大会に県代表として出場、優秀な成績を収めた。

また、火災予防運動の一環で昭和58年から小学生高学年を対象に防火ポスター展を開催し、平成元年県防火委員会主催の防火ポスター展では最優秀賞に輝いている。

★高規格救急車の運用開始

当町の高齢化進展に伴い、平成5年は独居老人の安全確保と福祉向上を図るため、緊急通報システムを導入。平成7年は消防緊急通信指令施設の整備を図り、出動指令の自動化と順次指令装置による消防団の出動も自動化により、通信指令要員の負担を軽減し、災害の迅速的確な対応を図っている。

平成8年度から救急救命士の養成を始め、本年度1人養成中であり、今後4人の救命士養成計画がある。職員中26人が救急?U課程又は標準課程を修了している。高規格救急車は山間地で降雪もあり四輪駆動車を整備することとなり、平成10年4月の運用開始となる。

消防長は「1部門に精通したエキスパートも必要ですが、オールマイティな職員になって欲しい」と職員への期待が厚い。小規模本部の職員が複雑多様化する最近の消防業務に対応するためには、職員の資質の向上を図らなければならなく、できるだけ多くの研修に参加させ、人材育成に務めているとのことである。(落合 俊夫)

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