日本財団 図書館


当本部における予防施策は、平成9年消防行政重点方針「災害に強い安全なまちづくり」を根幹として、?@住民指導スローガン「住宅防火対策の推進」、?A事業体指導スローガン「効率的防火管理の実践」の2本の柱を掲げ、その施策目標に向かってその実効を挙げ得るよう精力的に推進し、地域住民の負託に応えるべく、鋭意努力しているところである。

当本部査察規程に基づく防火対象物として、総数約8,800施設存在するが、一方、危険物施設は、約1,500施設を数えている。また、平成8年4月からは、新たに火薬類の許可及び液化石油ガスの工事届等の事務について、構成市町村より再移譲を受けている。

 

2 自主防火団体の育成

広報をはじめとした予防行政を推進するうえで忘れてはならないのが、自主防火団体の「福井地区防火委員会」である。当防火委員会は、戦災・震災により福井市が壊滅的被害を被ったため、「自分の職場は自分で守る、自分のまちは自分で守る」の基本理念のもと、当時の商工会議所が中心となって、昭和26年3月に、当時最も火災危険が高いといわれていた石油等危険物販売業者と諸工場、その他映画館や病院等、多数の人々が利用する施設関係者の尽瘁により設立された。設立当初は、事業体会員すなわち防火管理者会と危険物取扱者会のみであったが、昭和30年以降は全自治会も会員となっている全国でもユニークな存在の防火団体である。

年間の事業としては、年間1,800万円の予算により、普及広報、補助、斡旋、育成指導及び表彰の各事業を行っている。また、これら事業の運営について円滑な推進が図られるよう、行政も全面的な支援と強力体制により育成を図っている。

015-1.gif

3 地域と一帯となった火災予防広報

当本部では、火災予防を広く地域住民及び防火対象物である事業体等にアピールするため、火災予防運動期を中心に防火委員会と協力して各種の広報活動や研修会等を行っている。その主な内容として、まず広報関係であるが、音楽隊及び消防車等による「市中パレード」や、福井着物の女王が市長と共に大手デパート前で行う「街頭広報」の実施、それに幼児や児童を対象に、防火寸劇を取り入れた「ちびっこ防火大会」や「一日消防官体験入署」等のイベントの開催、さらには管内の全世帯を対象に「消防だより」の作成配付を行っている。次に研修会関係では、管内の防火管理者及び危険物取扱者等約500人を対象に「特異火災事故等」を演題とした防火研修会の開催、また自衛消防隊等の育成強化として、自治会、事業体及び婦人防火クラブ員を対象に、毎年9月に自衛消防隊消防操法競技大会を開催している。

 

おわりに

以上、当消防本部が実施している予防業務の一端を紹介したが、平成10年6月には、福井震災50周年記念事業として「世界震災都市会議」が開催され、その関連事業として、全国消防音楽隊マーチングフェスティバルが同年6月20日〜21日の2日間、開催されることが決定している。是非来年は、震災後50年目の復興なった福井市にお越しいただき、不死鳥福井の街並みをかい間見ていただければ幸いである。 (松本 喜市)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION