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有川町、奈良尾町)で構成され、上五島地域広域市町村圏組合消防本部として発足した。(図1)消防の組織は1本部・1署・4出張所の規模を有し、消防職員数は現在62人である。今回、「消防最前線」の寄稿の機会を得て離島の小規模消防管内に世界に類をみない施設、洋上備蓄基地を紹介する。

上五島は長崎県五島列島の北部に位置し、管内の面積は、214k?uで中通島と若松島の2島とそれを取り巻く大小100余りの島々からなっている。経済圏である長崎市までは、奈良尾港より海路95km、佐世保市までは、有川港より80kmの距離がある。空の便としては、昭和54年4月に上五島空港が開設され長崎及び福岡空港に小型機(8人乗り)が就航し、島内の交通は国道384号線を中心にバス路線の利用のみである。地形は全体に山が連なり平地に乏しく海岸線は複雑に入り込み西海国立公園の指定区域としてすぐれた景観を呈している。

基地となった上五島町は五島列島北部中通島の西側に位置し西海国立公園の一部の指定をうけ、若松瀬戸、東シナ海に面した漁業を中心に発展してきた町である。町の面積は56k?u、人口7,835人で社会情勢の変化とともに漁業、農業の第一次産業は衰退傾向で人口流出等、過疎問題が深刻化する町に石油備蓄基地は多大な好影響を与えた。

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2 青方港湾の生成と発展過程の概要

基地のある青方港は上五島西海岸に位置し港口は西に開いてその全面に祝言島、折島、柏島があり天然の防波堤をなしている。港内は入江が細長く湾入し、陸域は丘陵により囲まれ、南より相河川、北より釣道川が各々相河、青方街並を貫流して本港に注いでいる。両河川により流送される土砂の堆積により港奥部は浅いが入江のほとんどは非常に深い。海底土砂は砂質で投錯に適し静穏な泊地と共に天然の良港である。本港は江戸時代初期より盛んに漁業根拠地として利用されていたが、動力船による網漁業への移行に伴い近海の豊かな漁場を求め、九州各地を始め遠く中国、四国の各県より多数の船舶が入港し盛況を極めた。又、福江島と上五島を結ぶ航路基地としての利用も年々増加し更に博多連絡航路の寄港港となった。

本港は上五島地区における一般消費物資の集散基地、沿岸漁業及び遠洋旋網漁業の根拠地として重要な役割を果しており、さらに石油基地という国家的要請もあり昭和56年に重要港湾港に指定された。

 

3 基地の概要

上五島石油備蓄基地は、国家石油備蓄事業の一環として建設された。(写真参照)基地の設置場所は、青方港内で沖波の影響を考慮して折島と柏島の間には防波堤を設けその内面に五基の海上貯蔵タンクを設置している。(図2)その他石油の受払施設であるシーバース等が設置され、海上貯蔵タンクを浮かべる泊地等の海域部分と陸域部分に分かれ海域部分の広さは約40ha陸域部分は約26haとなっている。

(1) 施設の全体配置

海上タンクは、折島、柏島間の連絡道路堤(防油堤兼用)の東側に設けた浮防油堤内に配慮し、入出荷シーバースは折島の東側に設けており基地の安全防災施設及び管理施設は折島に設置している。

(2) 海上貯蔵タンク

 

 

 

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