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救助隊(救助工作車) 1隊 13人

医師・看護婦 2人

3 事故概要

宅地造成現場において、パワーショベルカー(重量3t)を使用し、地ならし作業中、運転席から地上に降りる際誤って転倒、操作レバーに接触(エンジン作動状態)、アームが作動し親アームとキャタピラ部分との間に身体(下腹部から両足大腿部の間)を挟まれ、身動きのとれない作業員1人を救助した事例である。

4 救助活動状況

「パワーショベルカーに挟まれた要救助者1人」の指令により出動。出動途上無線で異例の事故内容を再傍受した。各隊員は早期の無事救出を祈る気持ちと、緊迫感と不安感を抱いていた。また、現有救助資器材の限界を考慮、長時間に及ぶ救助活動対策として救助隊の応援要請。医師及び専門業者の現場出動要請等を考慮し、事前命令が無線で各隊へ下命された。現場救助隊長の状況判断で現場指揮本部に医師の現場出動要請、救助隊1隊の応援要請が報告され、通信指令室に無線にて連絡。続いて要救助者の観察、応急処置、救助活動区域の設定、二次災害の防止措置をし初動活動を実施した。要救助者の状態は、バイタルサイン正常、出血箇所も確認されなかった。しかし、救助隊長は容体の急変に細心の注意を払い、観察を継続するとともに勇気づけ等を実施した。

現場指揮体制は、指揮本部を早期に設置。現場統括指揮を実施しながら、事故関係者の中から当重機の専門員を確認し協力を要請。重機の分解より本体切断手段による救出方法を決断した。救出活動は、当重機本体2箇所の切断をガス溶断器2基(1基は現場調達した業務用)を使用し、要救助者の身体保護を配慮し水道水で冷却、毛布で保護を行い切断を実施。大型油圧救助器具(スプレッダー)2基を活用し、図A・B間を拡大。また、重機本体切断による要救助への苦痛を排除するため、パワーショベルカーの親アームを救助工作車クレーンにより吊り上げ固定した。これらの各作業には、特に安全性を考慮して実施した。救助隊長の命令により重機本体1箇所を(図C)を約7cm程度切断した時点で、図A・B間を拡大し、要救助者の身体挟まれ部分に間際が生じ救出完了。なお、要救助者の脊椎・腰椎損傷を考慮し、身体の下にスクープストレッチャーを敷き全身保護をした上でメインストレッチャーに搬送、救急車内に収容し市内にある救命センターに搬送した。また、現場における医師の処置は、要救助者の容体の観察であった。

5 おわりに

本事例の要救助者は、右大腿部、右下腿部の2箇所に約3cmの裂創を負い、中等傷であった。今回の現場活動は、指揮本部を中心とした指揮命令体制、また救助・救急

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