福井市東側に接する当本部は、吉田郡松岡町、永平寺町、上志比村の2町1村からなり、福井平野にそそぐ県下最大・一級河川の九頭竜川を挟み、南北を山林に囲まれた水と緑の豊かな地域である。
人口21,000人余、総面積94.37k?uを有し、北陸自動車道福井北インターに近く、計画中の中部縦貫道と併せ交通の要衝として将来の産業発展に期待するところである。産業面では、地場産業である吉田郡内の織物製造業を中心とし、農業面では上志比村のニンニクの生産が有名である。
観光面では、年間を通じ130万人の観光客が訪れる曹洞宗大本山「永平寺」を筆頭に、当寺を開創した道元禅師が最初に座禅行に入った吉峰寺、芭蕉が奥の細道の帰途に訪れた天龍寺などの古刹で賑わっている。また、管内の山々からは多数の古墳が発見され、越古墳群として時を刻んだ古代「越の国」が垣間見える。
昭和55年に国立福井医科大学、同58年に同大学附属病院、平成4年には県立大学が開設され、文化の香りが高い学園都市として地域の活性化が図られている。
昭和45年10月に当組合を設立、現在、1本部・1署・1分署、42人の職員と3消防団・13分団、262人の消防団員が地域防災の任にあたっている。また、年平均の火災・救急出場件数は、それぞれ7件、361件となっている。
★高規格救急車の運用開始
平成9年度に高規格救急車を導入し、本年度中の救急救命士の資格取得と併せ、平成10年4月の運用開始に向け準備を整えている。また、中高層建築物の増加によりはしご車の配備も検討されている。
★文化財「永平寺」
毎年1月26日文化財防火デーは、永平寺での大規模な消火、避難、応急救護訓練と併せ予防査察の実施を恒例としている。(写真)
火災予防運動期間中は、永平寺役寮に一日消防署長を委嘱し、職員への精神訓話・教養を行い、街頭での防火チラシの配布、大規模特定防火対象物への査察を併せ行い、婦人防火クラブ(5団体1,825人)、婦人消防隊(2隊50人)、婦人消防団員(7人)による街頭広報、少年消防クラブの野球大会による防火PRをも実施している。
管内の火災特性としては、密集地内での織布工場の大規模木造建築物が多く、その対応と県下有数の鮎釣りのメッカである九頭竜川でのタバコ投げ捨てによる雑草火災や、総面積の7割が山林のため、山菜採りの時期は入山者のタバコによる火災も多く、山林火災防ぎょ訓練も重点的に行われる。
★道元禅師大遠忌対策
平成14年には、永平寺高祖道元禅師750回大遠忌の行事が6か月間にわたり行われるため、臨時分駐所の設置及び他の予防対策など本部対応策の検討が今から進められている。
★強固なチームワーク
職員の人口比率に対する割合は県下で最も高く、当組合の行財政改革の一環として署所の統廃合や職員の適正な配置について、今後の検討課題であるという。
▼旺盛な使命感▼厳正な規律▼強固なチームワーク▼質実剛健の気風▼多様な専門知識と柔軟な思考力▼創意と工夫▼強い体力と旺盛な気力を職員指標に掲げ、消防力強化にはチームワークが不可欠とし、特に職員の精神面での鍛錬も教養に含まれている。また、広い分野の知識を持つこと及びどの部署でも対応できるよう業務の高度化を図るため、年2回筆記、実技効果測定を職員に課している。
さらに予防、警防の各分野での知識の一層の向上を図るため、課長補佐以下の職員を対象に月1回業務研究会を開催するなど、職員のレベルアップに重点を置くことにより、住民の期待に応える強い信条が感じられた。(落合 俊夫)