恵北消防組合は、岐阜県の東端長野県と接する一般に裏木曽と呼ばれる地域を管轄している。山紫水明、都会の雑踏からは想像もつかないほど、のどかで静かな地域である。春は山菜、特にワラビ・ゼンマイ・タラの芽等々ありとあらゆる自然の恩恵を受け、夏には別名「青川」とも呼ばれる付知川の清流で、鮎掛け・アマゴ釣りにいそしむ。秋、野山が色づく頃はシメジ・松茸・イクチなどの茸狩りや栗拾い。冬は、暖かい炭火のコタツで家族団欒。失いつつある日本の生活が、ここには今なお息づいている。
昭和57年4月発足の消防組合は、福岡町・付知町・坂下町・加子母村・川上村で構成され、岐阜県内で最も新しく、現在、1本部・1署・2分署の体制で、41人の職員と850人の消防団員と共に総面積330.91k?uと広大な地域を受け持っている。
★地域と一体となって
山々に囲まれた管内、林野火災が多く発生する。
「少人数での職員では、大規模災害に対処することは難しいのです。そこで、地域の消防団との結びつきが非常に大切になってくるのです。」と井後消防長は語る。普段からポンプ操法指導等の機会を通じて、地域と一体となった防災体制作りを進めている。
また、昨年、大災害が発生した時の通信網の確保と情報収集を目的として、管内のアマチュア無線クラブと協定を結んだ。
220人のクラブ員をブロック分けしてキー局を設定、そのキー局に集まった情報を消防本部へ送る「防災情報ネットワーク」を構築した。このネットワークにより災害時に消防が欲しい情報をいち早く把握できるようになった。
★ふれあいを大切に
幼い時から火災予防の意識を持ち、高めていくことを目的に幼年消防クラブ・少年消防クラブに対する活動を積極的に行っている。
幼年消防クラブには、職員手作りの紙芝居(木枠は消防長が作製)で火遊び防止を呼びかける。
少年消防クラブには、夏休み期間中に体験学習を本部で実施し、応急救護・結索訓練・煙の怖さなどを体験する。職員手作りの特製カレーでの昼食会など、ふれあいを大切に一人一人に浸透する体験学習を行っている。
★2つのハート
平成3年、消防組合設立10周年を記念し、恵北消防組合章(シンボルマーク)のデザインを募集した。全国各地から161点もの応募があり、その中から恵北消防の頭文字「K」をモチーフに2つのハート形をデザインした作品が選ばれた。
2つのハート、『消防に力を合わせる住民・住民を守り、信頼される恵北消防』を象徴している。
シンボルマークは、組合旗・封筒・バッジなどに広く使用され、住民にも親しまれている。