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地震によるガス施設の被害が屋内だけであれば、 マイコンメータでほぼ安全な対策といえる。しかし、残念ながら、ガス導管に被害が生ずる場合もある。事実、ガス事業者が供給を停止した過去7回の事例は、すべてガスが導管、とりわけ圧力を下げてガスを送る低圧導管がかなり損傷を受けたものであった。そうした場合は、速やかにガスの供給を停止する必要がある。低圧導管にガスを送り込む施設が低圧ガバナである。電力でいうと変圧器(トランス)に相当する。

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東京ガスでは、現在3,500基すべての地区ガバナにSIセンサーという地震計を取り付け、ガス導管の被害や家庭に損壊が生ずるような地震動を感知したら自動的にその地点のガスの供給を停止するようになっている。

マイコンメーターの感震器はたとえ作動してもお客さまの手で簡単に復帰できるので、簡単な機構になっている。しかし、地区ガバナでガスを止めた場合、復帰までに時間と手間を要するので被害がない場合は、むやみに作動することをさけねばならない。

そのため、この地震計は、被害があるかないかを正確に判定できるものでなければならない。そうした目的のために開発され、実用化されたのがSIセンサーである。

 

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被害との相関が高い地震センサー(SIセンサー)

従来、地震動の大きさを表す指標として、加速度(ガル値)が一般的に用いられてきた。しかし、加速度は必ずしも地震の被害や大きさを的確に表す指標とはいえない事が分かってきた。そこで、当社では、独自に検討し、米国カリフォルニア工科大学のハウズナー教授が提唱するSI値(スペクトラム・インランシー)が、理論的に合理性があることを確信するとともに、多くのデータを集め、分析し、実証的にもその優位性が確認されたために(図-4)、SI値を直接測定する地震計(SIセンサー)を東大生産技術研究所と共同開発し、それを当社のすべての地区ガバナーに取り付けている。その後の地震でもこのSIの妥当性は検証されており、通産省の検討会では、各事業者にこの地震計の設置をすすめるとと

 

 

 

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