日本財団 図書館


ワンポイント

消防職員のための法令用語解説

 

申請に対する処分(1)

 

1 審査基準

 

「行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準(以下「審査基準」という。)を定めるものとする。」(行政手続法5条1項)。

このように、申請に対する処分については、審査基準を定めることになった。

そして、審査基準については、「行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、当該許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。」(行政手続法5条2項)ことになっている。

さらに、「行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。」(行政手続法5条3項)ことになっている。

このようにして、「行政の公正と透明性」を図っているのである。

この「申請に対する処分」は、「法律、法律に基づく命令である政令、省令等による処分」をいう。条例又は規則による処分については、行政手続法の「申請に対する処分」の規定が適用されないことは、以前に説明したとおりである。(ほのお′96・11号)

審査基準を「公に」しておく方法としては、窓口における備付けとして、掲示板等への掲示、簿冊形式で閲覧に供するといった方法が考えられる。申請をしようとする者の要求に応じて提示することでもよいと解される。

行政上特別の支障があるときは、公にしておかなくてもよい。それは、公益上の観点から具体的に判断することになるが、国の安全が害されるおそれがある等である。

 

2 消防行政における審査基準

 

消防行政における処分の審査基準としては例えば、消防法10条1項ただし書きの規定により、指定数量以上の危険物を仮に貯蔵し、又は取り扱う場合(以下「仮貯蔵等」という。)の承認基準が考えられる。

また、「製造所等の許可申請に対する処分」について、「危険物の規制に関する政令」(以下「政令」という。)9条1項の審査基準、屋内貯蔵所に関する政令10条、12条の審査基準、屋外タンク貯蔵所に関する政令11条の審査基準、地下タンク貯蔵所に関する政令13条の審査基準、簡易タンク貯蔵所に関する政令14条の審査基準、移動タンク貯蔵所に関する政令15条の審査基準、屋外貯蔵所に関する政令16条の審査基準、給油取扱所に関する政令17条の審査基準、販売取扱所に関する政令18条の審査基準、一般取扱所に関する政令19条の審査基準が考えられる。

また、消防法11条5項ただし書きの規定による製造所、貯蔵所又は取扱所の一部を仮に使用する場合の承認の基準、消防法14条の2の規定による予防規程を認可する場合の基準も考えられる。

 

全消会顧問弁護士 木下 健治

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION