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消防最前線

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火  災

木造作業場1,200?u焼失

長岡京市消防本部(京都)

 

はじめに

当消防本部は、京都・大阪二大都市の中間に位置し、北は向日市と京都市、東は京都市、南は大山崎町、西は西山連峰を境に大阪府と接している。西に高く、東に低い地形で、約6割は平たんな可住地であり、残りは市の景観の中心になっている西山連峰である。中央部は住宅、商業、農業などに利用され、東部は特に工業が盛んである。管轄面積19.19k?u人口は78,000人なっている。

 

当市が誇る多くの歴史遺産の一つに、昨年NHK大河ドラマ「秀吉」の中で放映された山崎の合戦で、明智光秀が本陣を構えた勝竜寺城がある。光秀の娘、玉(ガラシャ)が細川忠興に嫁いだ城としても有名で、平成4年春に公園として復興したのを記念して、毎年11月の第2日曜日に、細川ガラシャの「愛と感動のドラマ」を象徴した市民祭りが盛大に行われている。

当消防本部の体制は、1本部・1署・1分署、消防職員82人、消防団員150人である。

ここで紹介する事例は、作業場と倉庫を併用する建物で、10数回の増築、改築等の結果、複雑な構造の大規模木造建築物となり、消火困難をきたし、消火活動中2人が負傷した火災である。

1. 火災の概要

(1) 発生日時 平成8年11月29日12時00分頃

(2) 発生場所 長岡京市神足神田15番地

(3) 覚知時分 12時12分(119)

(4) 鎮火時分 13時45分

(5) 気象状況 天候 曇 風向南西 風速4m/s 気温9℃  湿度48%

(6) 焼損状況 半焼一棟(木造部分全焼)

焼損面積1,205?u

損害額1億2,948万円

(7) 負傷者 消防吏員1人(軽傷)

消防団員1人(軽傷)

(8) 出場車両及び人員

消防署 9台 55人、

消防団 5台 59人

2 出火建物の概要

出火建物は、昭和40年、木造瓦葺2階建作業場として建築された。この時には、北側に平屋建作業場と資材置場の2棟、西側に平屋建木工場1棟と計4棟の別棟からなっていた。

その後、昭和62年にそれぞれ2棟の中央にトタン屋根を設けたため、1棟となり増築・改築・模様替等を繰り返し、ホール・塗装工場及び倉庫等の多用途からなる1棟の作業場となった。

3 活動概要

(1) 先着隊現場到着時の状況

12時12分、119番通報を受けた通信指令室は、建物火災第一出場を指令、ポンプ車2台・タンク車・救急車の4隊が出場、直近に位置する東分署消防隊は、覚知3分後の12時15分現場到着、工場内私設防火水槽に水利部署した。出火建物は、2階西側屋外階段出入口から火炎が噴出し、西側部分は最盛期の状況であった。2階中央から東側の軒下からは黒煙が噴出しており、東に向って延焼中であったが、逃げ遅れ等の要救助者はなく、12時20分全職・団員の非常招集を現場より要請した。

(2) 消防活動の状況

最先着の東分署消防隊は、出火建物南側から消火活動にあたるが、南側は、ほぼ全体的に高さ4m余りのスレート張高塀にはばまれ、さらに2階部分の10数箇所の鉄扉の開口部は全て閉じられていた

 

 

 

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