手との間に、いろいろな条件が横たわっているからなのです。話は、そのフィルターを通します。
これから、聞き手の持っている条件について述べていきます。どうか、考慮に入れていただきたいと思います。話の決定権は、聞き手にあります。
1. あきやすい
よほど、興味のある話は別として、聞き手は、話を聞くのが好きではないようです。
結婚式でも、10分、20分、30分と話を平気でする人がいます。偉い人ほど、その傾向が強いようです。
「エー、ただいまご紹介にあずかりました○○会社の、専務取締役の△△××です。今日のよき日に、華燭の典をあげられ、喜びをきんじえないものであります。かの有名なるドイツの詩人、ゲーテは、……」
こういったスピーチをする人を立派な人だと思いますか。お若い時から、聖人君子だったようです。こういう人にかぎって、長々としゃべったあげくに、
「はなはな短こうございますが、これにて、お祝いのコトバにかえさせていただきます」
と、きます。もう、殺したくなります。旧来の形にとらわれることなく、自分として、自分の気持をどうして語れないのでしょうか。お説教なんか、誰も聞きたいと思って来たわけではないのです。たとえば、
「おめでとうございます。新郎のお父さまの友人の○○××で、す。新郎の△△君は、小さい時から、とてもやさしい心の持主で、人の話に、耳をよくかたむける人でした。なかなかできることではありません。わたくしなどは、せっかちで、できません。
きっと、新婦さまのお話をよく聞く、新婦おもいのすばらしいご主人になられる、と思います。おめでとうございます」
ぐらいで、いいのではないでしょうか。1分ぐらいですんでしまいます。
世の中では、どんな人が嫌われるでしょうか。話の長い人です。どうか、これからは、短く、あるいは、与えられた時間内で、具体的に、絵をえがくように話をすすめるようにしてください。観念的な話はできるだけ避けたほうがいいようです。長い話が好きな人は、ちょっとコトバが過ぎますが、頭が悪い証拠だとお考えください。じつは、短い話、与えられた時間内に話をおさめるというのは、ムズカシイのです。頭の整理がいるからです。
結婚式で、アガッテしまった、話すことがない、みな、前の人たちがしゃべってしまった、そういう時には、どうどうとした態度で、
「おめでとうございます。おしあわせに」
と言って、坐ってしまってください。短くてよい、と人は評価してくれます。
話の順序についてふれておきます。普段から、この習慣をもたれるといいと思います。前もって、スピーチ原稿を書くなどというおろかな行為をしないことをおすすめします。原稿どおりに話がはこぶということは、まず、あり得ません。その場に行ってみなければ、その場の状況がわからないからです。それよりも、この順序でしてみてください。
?@あいさつ……折り目がいります。
?Aなまえ………どんな方のなまえも知る人ぞ知るです。時には、なまえを覚えてもらう工夫がいります。
?B内容…………その場にふさわしいことをおっしゃってください。この部分だけ、前もって、メモ用紙に箇条書きにして整