皆さまは、話をしている時に、目をつぶっていますか。なにかの理由でつぶることはあっても、ほとんどはあいているハズです。人は、お互いの話を耳で聞いているというよりも、目で聞いているといっても過言ではありません。ですから、姿、態度がだいじなのです。そこで、態度のチェック・ポイントを申しあげます。
セ……背すじ
メ……目くばり
テ……手の位置
アシ…足の位置
フク…服装
クセ…くせ
こう、覚えてみてください。
ネコ背の人がいます。胸をはって、まっすぐにしてください。肺で空気を吸って、声を出します。姿勢の悪い人は、美男美女に見えませんし、肺を圧迫するので声が充分に出ません。話は、声を使うということをお忘れなく。
人気のある歌手を、見てみてください。観衆をよく見ること、たいへんなものです。わたくしは、下町の玉三郎の大ファンなのですが、ショーに行きますと、玉ちゃんのあの流し目で見られた年配のご婦人方の喜びの叫びのすごいこと、ワー、オー、ギャーです。おまけに歓極まって、一万円札のレイを玉ちゃんの首にかけています。オールド、オールド、シスターズの大合唱にかき消されて、玉ちゃんの歌がよく聞こえてきません。でも、時々、後のほうに席を占めているわたくしの方にも視線が注がれます。もう、それだけで充分なのです。人を見て、話すということは意外にムズカシイものです。全体を見ながら話をしてください。自分の話の効果のほどがわかります。
腕組みをしたり、手を後に組んだり、ブランブランさせてみてください。見ていて気持のよいものでしょうか。体がグラついたりするのも、妙なものです。キチンとしてみてください。
コトバは話のすべてではないのです。いま一度、態度の大切さについてお考えいただけないでしょうか。わたくしたちは、キチンとした態度で話す人には好感をもちますし、安心感さえ抱きます。
毎日のように話をしているわたくしですが、うまくいくことばかりではありません。笑わせようとか、へたに聞き手の心をつかもうなどという野心を持つと、へつらいか失敗に終ることだってあります。人が笑い、心を揺れ動かす、それは、結果論です。ひとりごとならまだしも、話には、つねに相手がいるのです。自分の心さえよくわからないというのに、人の心がよく分かるハズがないのです。ましてや、聞くのも労働のひとつなのです。相手は、イヤになったら、すぐに横を向いてしまうのです。しっかりした態度で、勇気をもって、一生懸命に話をしていく、それが、まず、なによりも大切なことです。次に、心がけなければならないことをお話したいと思います。
どんな条件で、人は話を聞いているのでしょうか