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出火した工場の宿直員によると「通常点灯したままである事務所の電灯が3時頃突然消えたので、不審に思いボイラー室を見に行ったが異常がないので、工場西側に様子を見に行くと、工場内の電気室付近の窓から煙が出ていたので火事だと思い、消火しようと工場内に入ったがすでに炎がいっぱいで何もできない状態であり、事務所に帰り119番通報したが電話が通じなかった。」とのことである。

消防隊は出場途上黒煙を見分するが、現場到着時の工場北面の正門前での見分では特に建物に変わった様子は認められず、男性が手招きしている付近に近づいて見ると工場西面

 

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中央部分から激しく煙と火の粉が吹き上げている状況であった。直ちにホース延長し正門から工場内部へ進入を試みたが、すでに工場1階部分は炎につつまれて屋内進入は不可能な状態になっており、さらに2階部分へ火勢が急速に延焼拡大して行くのが見分された。

先着消防隊は工場正門で防ぎょにあたるとともに、隊長は建物周囲の状況把握をおこなったが、すでに工場全体が炎につつまれている状態であり、また河川に面している工場西側以外は木造住宅、製紙工場等が密集しておりさらに延焼拡大する危険が高いと判断し、通信指令室に第2次出場を要請するとともに、消防隊を東面及び南面に重点的に部署するよう指示し、延焼防止に全力をあげるとともに、飛び火警戒のため特命による第3次出場を要請した。

製紙工場のためロール原紙やボックスティッシュ等の紙製品が大量に保管してあること、また、建物各所に紙粉が堆積しており延焼速度が異常に早く、懸命の消火活動にもかかわらず火災鎮圧までに2時間余りを要した。さらに、鉄骨が炎熱により随所で垂れ下がり障害となって残火処理に手間取り13時25分に鎮火を確認した。

 

4 消火活動上の教訓

製紙工場には大量の可燃物が収容さているとともに紙粉が多いことにより、一旦火災が発生すると異常に火の回りが早く、急激に延焼拡大して行くという特徴が認められる。またロール紙や積み重ねた紙、ビニール包装された製品等は水が内部に浸透しにくいため、消火には大量の水を必要とする。

今回の火災では、出火した工場の近くの河川からも取水したが、この河川には他の製紙会社の排水が流れているため、吸管のストレーナーが目詰まりを起こし吸水に支障をきたした。

また、周辺の消火栓は本管であったにもかかわらず一斉に大量取水したため火災現場に近い末端で水圧低下をきたし、遠距離からの中継送水を強いられた。

鉄骨造の建築物火災では、焼きして垂れ下がった鉄骨等が障害となりフォークリフト、ユンボ等の機械力による民間協力を得たが、残火処理に長時間を要した。

さらに本火災では消防団員2人が消火作業中高所で足を滑らせ負傷する等、消火作業中の安全管理にも若干問題が残った。その一方で東隣の製紙工場や南側に隣接する住宅への類焼は、表面をごくわずかに焼く程度に押さえることができ、住民から大変感謝されたことは、消防団との連携もよく消火活動が有効、的確に行われた結果であると確信している。

(石田良水)

 

 

 

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