火災
歴史と伝統の「紙の町」伊野町で製紙工場全焼
仁淀消防組合消防本部(高知)
当消防組合は高知県中央部に位置し、総面積351.83km2 、人口51,520人で、一級河川・仁淀川流域の4町村(伊野町、春野町、吾北村、日高村)で消防行政の一部事務組合として、昭和48年3月「仁淀消防組合」として発足し今日にいたっている。
当消防本部のある伊野町は、藩政時代から「紙の町」として知られ紙とともに発展してきたために、多数の製紙会社が住宅密集地に建てられている。
消防体制は1本部・1署・3分署で職員63人、消防団は4団本部・22分団、団員593人で、町村民の生活を守るため日夜努力している。ここに紹介する火災は、伊野町内の製紙会社から出火し、工場及び事務所を全焼、隣接する建物の一部へ類焼し、完全鎮火まで10時間あまりを要した火災である。
1 火災の概要
(1) 出火日時 平成8年7月23日(火)
2時45分頃
(2) 火災場所 吾川郡伊野町3918番地
(3) 覚知時間 3時26分(119番)
(4) 鎮圧時間 6時22分
(5) 鎮火時間 13時25分
(6) 気象状況
天候快晴、気温25℃、風向西北西、
風速2m/s、湿度84%
(7) 被害状況
焼損建物 工場(準耐火一部木造)1棟、事務所(木造)1棟(全焼)
焼損面積 6,404?u
負傷者 2人(消防団員)
損害額 249,396,000円
(8) 出動車両等
消防本部・署 5台 26人
消防団 19台 144人
2 出火場所の概要
出火場所は伊野町の中心に位置する工業地域内にある製紙会社で、北側はJR土賛線が東西に伸び、現場周辺は進入路が狭く付近一帯は他の製紙会社や民家等が密集しており、大火となる恐れが高い地域である。
本火災は、主としてトイレットペーパーやボックスティッシュ等を製造する工場内の受変電設備付近から出火し、工場6,246?uと別棟の事務所158?uを全焼し隣接する他の製紙会社及び民家のごく一部を類焼した火災である。なお、出火当時は操業していなかったため、宿直員二人がいただけである。
水利は、火災現場を中心として半径120m以内に、消火栓4箇所、防火水槽2箇所、自然水利(河川)がある。
3 通報、消防活動の状況
製紙工場近くの住民が、「トントン」とか「ポンポン」という花火の上がるような音に目覚め、部屋から覗くと工場内が燃えていたので119番通報したものである。