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市からの委託事業として市社会福祉協議会の常勤ヘルパー、市管轄のパート・ヘルパーの管理を行う。「さわやか福祉」が関係するのは、これとは別に自主事業として行う民間からの公募登録者による在宅介護活動である。ついては「さわやか福祉」の全メンバーの参加を願いたい――というものだった。そしてここに大きな問題があった。

A市側は、この構想の前提として「さわやか福祉」の団体を解散し、個人の資格で全員が公社へ登録してほしい、と条件をつけたのである。

団体側が強く反発したのは当然だろう。会を立ち上げてから手を取り合って、ようやくここまで育て上げてきた市民の助け合い活動を、「これからは福祉公社が取り組むから」との理由で、吸収合併しようというのか。これは"官"による"民"の圧迫ではないのか…。

役員レベルの会合、団体全員を対象とした討議など、会合が次々に持たれた。双方の代表者レベルでも頻繁に折衝が持たれ、"解散"の前提をめぐるやりとりは厳しいものだったようだが、それ以外の点では実りも見られた。たとえば、「公社の仕事として保育・育児、産前・産後の面倒を見る事業を考えてほしい」との要望には公社側が賛成。公社への活動者登録の際、六〇歳としていた年齢制限をつけない点でも公社側が譲歩した。

この段階で「さわやか福祉」内部の意見は次のようなものだったという。

● 「解散反対」…公社に一本化された場合、介護サービスのレベルは確実に低下する。まず現在行っている要介護者の病院、自宅間の移送や外出援助サービスは、公社になれば、業者の抗議に対抗できない。病院の付き添いも、現在は"家族"扱いとして会のメンバーが行っているが、公社のヘルパーでは病院に入ることはできない。会の「ふれあい切符制度」もやめざるを得ない。

また、「さわやか福祉」には一つひとつのサービスのほかに大きな役割がある。公的福祉サービスの補完やしりぬぐいで行政と同じことを追い求めず、"与えられた福祉から参加する福祉、さらに創り出す福祉"へと福祉の充実を求めることが必要ではないか。

● 「解散賛成」…公社というネームバリューは魅力だ。行政が背後にある福祉公社なら、現在の財政的苦労は解消される。またA市程度の規模なら、

 

 

 

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