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公的介護保険制度の導入に向けて

「行政は基本的介護を、ボランティアは心を」

さわやか福祉財団理事長 堀田 力

 

なぜ公的介護保険が必要か

■ 公的介護保険がいよいよ制度化されるに当たって、世間一般には期待と不安の入り混じった感情を持つ人が多いのではないか。特に、テレビや新聞のマスコミ報道では、「公的介護保険の問題点」がたびたび取り上げられ、また、この制度の運営責任者である各地方自治体(市区町村)も、少なからず、消極的な姿勢をくずしていない。介護という分野を保険制度で行うことに反対の人も根強くおり、また、福祉税などの目的税でカバーすべきだという声も少なくない。

しかし現実に、増え続けるお年寄りの介護をすべて税金で賄うとしたら、北欧並みに、たとえば所得税率五〇%を優に越える数字が要求されることになるが、高福祉であっても高負担の仕組みは日本の社会にはなじまないだろう。

たしかに、現在俎上に載せられている公的介護保険の制度は、決して完壁ではないが、それでも、あえて、私は、できるだけ早い施行を望みたい。

理由は、簡単。公的介護保険の導入によって要介護高齢者等を取り巻くケア環境が、少なくとも今よりずっと改善するからである。問題点は走りながら直していけばよい。まず一歩前進することが求められる時代に来ているように思う。

 

公のシステムによる限界

■ しかし一方で、実は、あまり指摘されていないが、公的介護保険制度導入では、非常に重要な問題が残されている。

特集ページに詳しく書かれているように、公的介護保険で提供さ

 

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