日本財団 図書館


介護保険法と心豊かな暮らし

公的介護保険制度の導入によって、お年寄りがお年寄りを介護する「老・老介護」や家族介護の軽減が期待される。しかし、実際に運営主体となる市区町村では、受け入れ体制に地域格差が生じることも予想され、自治体によっては、ヘルパーなどのマンパワーの不足や、施設整備などが間に合わないところも出てくるはずだ。そしてそれは、各自治体が、またその首長がどれほど地域住民のことを考えているかという"踏み絵"にもなる。

まださまざまな課題を抱える制度だが、仮に、それらをすべて解消したとして、果たして「豊かな老後」は送れるのだろうか。公的介護保険は、あくまで「基本的介護」をめざすもの。日常の生活支援や、あるいは人として生きるためには「心」の豊かさも同じように必要だ。そうした視点を行政も市民も忘れずにいたい。

 

023-1.jpg

(参考図書:平成9年版『厚生白書』、東京都社会福祉協議会資料)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION