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の一割で二万一〇〇〇〜二万七〇〇〇円です。

この金額の範囲でサービスを受けることができるのですが、実はまだ、介護報酬・介護単価は決まっていません。私が勝手に予測数字を挙げると次のような金額です。

〈ホームヘルプサービス(介護)は一時間あたり三〇〇〇円強、デイサービスは一日五〇〇〇円程度、訪問看護一回八○○○円程度、ショートステイ一日一万円程度〉

このケアマネージャーは次のように組み立てました。ホームヘルプ毎日二回の十四回、訪問看護週二回、デイサービス週三回、ショートステイニケ月に一回一週間。

さて、このサービスで「食事、排泄いずれにも介護を必要」のこの人はどのようにサービスを受けることになるのでしょうか。朝六時に起床し、夜一〇時に就寝するとし、一週間の生活時間の中でサービスを割り振ってみたのが、前ページの表です。

ホームヘルプサービスを一回三〇分として一日二回とし、またニケ月に一回のショートステイはこの一週間には出てきません。介護保険法は、保険料を支払う一人ひとりに対するサービスで、一人暮らしと家族のいる場合とのサービス量については変化はありません。この場合、一人暮らしの要介護高齢者として想定してみましょう。

まず、これまでの福祉制度より多くのサービスが提供されることがわかります。これまでであれば、ホームヘルパーが一週間に二回(一回約二時間)程度、デイケアは一週間に一回程度というのが全国平均のサービスでした。それが、毎日ホームヘルプサービスが受けられ、デイケアも週に三回行けるようになるということは良い変化です。

しかし、介護保険のサービスだけで生活しようとすれば、おむつ生活を避けることはできないでしょう。就寝前と朝の着替えもできないでしょう。一回三〇分のホームヘルプサービスではおむつを替えるのが精一杯で部屋の掃除まで依頼することはできないでしょう。入浴は寝る前にしたいということはあきらめて、デイケアで昼間に済ませなければならないでしょう。また、食事サービスは介護保険サービスの中に入っていませんから、自力で外へ出られない人は食事を取ることもできません。

介護保険法で保障されるのは、生きていけるための最低保障なのであって、人間らしい生活をするところまでは無理なのです。この点については、現況の社会福祉と質的な変化はないのです。

次回は、この介護保険法とボランティアとの関係について考えてみましょう。

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