5 サービス提供は「民間中心主義」
サービス提供は、措置制度のように公務員が直接サービスに従事したり、社会福祉法人などへの委託事業として行われるのではありません。民間の株式会社などの営利事業体やNPO(非営利・市民事業体)、生協、農協などが参画できることになっています。この点は注目されていないのですが、この政策の進行によって、わが国の福祉政策全般を左右するような効果を上げることになるでしよう。
介護保険の当初予算は四兆二千億円程度、これに関連する事業高を含めると一〇兆円弱の市場になると想定されています。これが「措置」ではなく、そのサービス提供の多くが民間に委託されたり、民間の創造的な独自事業が実施されることになります。また、興味深いのは、日本の歴史にとってはじめてのことなのですが、この分野において企業とNPOが競合状況に入ることになります。(この点の詳しいことは次回に述べます。)

サービスの提供は「現物支給」で
介護保険におけるサービスの提供方法としては、「現物支給」と「現金支給」があります。
「現物支給」とは、必要とされるサービスの程度に基づいて、直接そのサービスが提供される仕組みをいいます。
提供されるサービスの内容は、個々人の介護の必要度に応じて異なります。
現在、その区分は次の6通りで考えられています。
? 要支援……虚弱
? 要介護?…軽度
? 要介護?…中度
? 要介護?…重度
? 要介護?…痴ほう
? 要介護?…最重度