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学生ボランティア

 

学校が楽しいからね

千葉県習志野市立秋津小学校 校長 宮崎 稔

 

「校長先生、見てください。これじゃ練習になりませんよ」…

と、ニコニコしながら、大正琴サークルの高齢の方が話しかけてきました。本校では三年前から一階の余裕教室四室を地域開放して、大人の生涯学習の一環として使っていただいています。本校の教室開放の特徴の一つは、平日でも午前九時から使用できること。だから休み時間になると、「ちょっとやらせてください」と子供たちが顔を出して、こうした自然なふれあいが繰り広げられることがあります。

「あっ、チャイムだ。三時間目がはじまっちゃう。じゃ、また来るね」

屈託のない子供の顔が消え、やがて高齢者だけの練習がはじまります。

その余裕教室は学校施設ですから冷房もありませんし、備品も不備です。しかし、活動する方々は、「学校だからいいのよ。子供さんたちが時々のぞいてくれるでしょ。そして話しかけたりしながらふれあいが持てるのです。学校は楽しいですよ」と、明るく答えてくれます。単に校舎の隅の「場所だけを」「子供のいない時に」貸すというのではこういった意義は期待できません。子供の活動時間に大人も活動しているからこそ、余裕教室の貸与は意義があるのです。

学校と地域の連携・融合の必要性が叫ばれ、その試みが随所で行われています。本校もPTAのみならず幅広い層の方が、朝といわず昼といわず、また土・日に限らず校舎内や校庭で子供たちといろいろふれあっています。高齢化とともに核家族化が進む今、多様な大人の個性や生き方に直接ふれる場を、できるだけ多く設定することが大切であるという認識に基づくからです。

平日でのふれあいは、女性や高齢の方の参加が多いのですが、教育課程に位置づけられているクラブ活動では土曜日実施ということもあって、特に男性の参加が多くあります。

こうなるまでにはいくつもの課題があったのも事実です。しかし本校では、課題が生じるたびにそれを産みの苦しみととらえ、より良い連携を模索して理念を作り上げてきました。高齢の方とのふれあいの一部を次にご紹介します。

 

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下校途中には大正琴も教えてもらってにぎやかな交流のひと時。

 

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敬老の日にクイズを出して  クラブ活動で将棋を教えてもらう。
交流している子どもたち。

 

 

 

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