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地域の役に立つことが喜び

 

林さんが最初に地域とのかかわりを持ったのは、木材関連会社に在職中、自治会長を引き受けたことだった。

「このあたりでは、"区長"というんですが、要するに、行政の仕事の一環を住民に知らせるのが仕事で、町で行う行事指導などを担当していたんですが、ちょうど任期中に、長野西部地震が起こりましてね。震源地は王滝村でしたが、福島町でも大きな被害が出て、復興作業にずい分、あちこち駆け回りました。この時に、地域の人々が、お互い助け合うことの大切さを痛感しましてね。それで、老後は地域活動に従事しようと決めたわけです」

もともと、「頼まれるとイヤとはいえない性分」という林さんは、自治会長を退いたあとは、老人クラブの会長に就任。また、社会福祉協議会の副会長も引き受けた。

「老人クラブでは、友愛・共存・自立という目標を掲げて、"福寿の家"という会員の手作り製品を展示販売する事業や、"生き生きシルバー即売会"という農産物の委託販売やチャリティーバザールなどを行い、その収益金の一部を社会福祉協議会に寄付をしています。また、音楽部や陶芸部といった各部会活動もさかんで、老人ホームの慰問をしたりもしていますが、私はそのほとんどにかかわっていますから、なんだかんだと毎日忙しいんですな」

「最近は年のせいで、体がきつくなってきた」とこぼす林さんだが、それでも「地域のために役に立ちたい」という当初の思いは、今だ健在とのこと。

「いくつになっても、やるべきことがあるというのはいいもんです。こうした活動をすることは、今の私にとっては生きがいでもあるし、若さを保つ秘訣でもあるんですよ」

林さんが地域のなかで得た宝物は、数えきれないほど多いに違いない。

 

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木曽福島町老人クラブ連合会が経営する「福寿の家」

 

 

 

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