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新・ふれあい社会考NEWS

 

●街の薬局が、地域のネットワーク窓口に

「おむつの購入など、介護用品を求めて訪れる薬局は、介護ニーズを有する住民が訪れるスポットであり、埋もれている介護ニーズの掘り起こしになるとして、薬局に在宅介護支援センターの窓口をお願いしたんです。というのは、たとえば、一関の場合、在宅介護支援センターは、市の中心部から6キロほど離れた山中にあって、なかなか、来ていただくのも不便なんです。また、在宅介護支援センターそのものの役割を知っていただいている方々も少ないですから、敢えて、支援センターの支店という表現をさせていただいいますが、その取り次ぎを薬局のみなさんにお願いしています」と語るのは、一関市福光園在宅介護支援センターソーシャルワーカーの神崎浩之さん(本誌58ぺージご参照)

このモデル事業は、岩手県が岩手薬剤師会に委託して、平成7年12月から、6市町村27薬局で「まちかど相談所」をスタートさせ、8年度には12市町村55薬局で展開してきたものを、9年度からは、県薬剤師会がモデル事業として引き継いだもの。一関市薬剤師会会長の小野寺持久さんは、「この事業がはじまるまでは、私たちも一市民ながら、介護支援センターか何をしているところなのか、訪問看護ステーションは?とか、知らなくて、一から勉強したんですよ」と語る。

相談件数は3700件と多いが、その多くは、介護者や当事者のグチの聞き役でもあるという。また、隣街から訪れる方々が6割強だとも。介護問題のむずかしさが、この6割という数字に表されているように思う。いずれにしても、一関市の全薬局23店舗が今年度から「まちかど相談」業務をはじめている。薬局(薬剤師)と福祉(支援センター)との組織同士のおつきあいを、また、市民の介護問題の指南役としてありたいというこの動きは、いま、全国の薬剤師関係から注目されているが、ネットワークのひとつのキーワードを感じつつ、帰途に着いた。(奈良 環)

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