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福祉の現場を訪れて実情を把握し、サンプルを試作

 

栗田さんがグループをつくってまず手掛けたことは、高齢者や障害者、手術後療養中の人たちなどが脱ぎ着しやすい衣服や身のまわりの物を研究、開発することだった。

「毎月第一金曜日の午後に、学院内の教室にメンバーが集まって、足をケガした場合や点滴を必要としている場合など、その障害の実情に合わせて、既成の服を着やすくなるように改良・リフォームするアイデアをみんなで話し合うことからはじめたんですね。そして、そのアイデアに沿って、試作品をつくってみようということになりました」

だが、メンバーはいずれも、服飾の専門家ではあっても福祉の分野では素人。アイデア倒れになってはいけないと思い、栗田さんのネットワークを通じて、ボランティア活動を実践している人たちからお年寄りや、障害者がどんな点に不便を感じているかをヒアリングしたり、さらに紹介してもらった福祉施設などを訪ねたりもした。

「実際に施設を見学すると、いろんなことが見えてきましたね。たとえば、老人ホームでは、おむつをしている人が多いのでお尻まわりが異様に大きくなり、Lサイズの上の三Lぐらいのズボンを買わないと、介護するのがとても大変なのだそうです。でも、身長一五〇そこそこの人が三Lサイズのズボンをはくと、

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