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あいの生活の場をつくろうというわけだ。自立を最大限に重んじようという点で、それは措置で入る施設とは違う。また、家族的なふれあいの場としようという点で、共同住宅や下宿とは違う」

「だけど、共同住宅や下宿でも、入ってる人たちが家族以上の親しい関係になることがありやすぜ」

「はじめからそういう関係をつくることを目的としているなら、下宿だってグループホームといってよいだろうよ」

「ご隠居さんのいうことは、元気な者同士が住むグループホームならわかりやすが、世話人がいて何人かのボケ老人を看るようなグループホームには当てはまらないんじゃないですかい?」

「そうじゃないさ。痴呆老人であろうと知的障害者であろうと、やっぱり家族と暮らすような雰囲気のハウスで住むことは、心の安らぎのためにとても必要なことだと思うよ。少人数で住むことがグループホームでの要件になってるってことは、そういうことさ。だから痴呆であってもグループホームでの共同生活に適する人と適さない人がいる。そこは扱いを分ける必要があるだろうね」

「しかし、痴呆じゃ自立はないでしょうが」

「何をいってるのだ、八つぁん。痴呆の人だって、心はある。その心を目一杯大切にしてあげれば、心が生き生きする。それが、自立さ」

「なるほど。自立を心の問題とすると、元気な人同士だけでなく、人のお世話にならなきゃなんねぇ人だって、自立とふれあいのグループホームでやっていけるわけだ。そのうえで、自分の感性で人とふれあうってわけか。まとめていえば、呼び名はグループホームであれ何であれ、ただグループで住むというだけでなくて、自立とふれあいを実現するってところに新しい意味があるってことさね。おわかりですかい、ご隠居さん」

「そういってすぐいばりたがるところをみると、どうも、お前さんはグループホームにゃ向かねえ気がするな」

 

 

 

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