巻頭言 ●NO.16●
―自立とふれあいのグループホーム八っあんは向いていない?―
●堀田 力 さわやか福祉財団理事長
「ご隠居さん、今日はひとつ、お教えいただきてぇことがござんして…」
「どうした、八つぁん、気色悪いじゃねぇか、殊勝ないい方をして。さては、お玉ちゃんから、モノを知らねぇって、バカにされたのかえ」
「とんでもねぇ、いくら何でもお玉よりは勉強してまさぁ。あっしがうかがいてぇのは、グループホーム」
「ほほう、お前さんも結構時代の動きにキャッチアップしてるねぇ」
「キャッチもピッチもアッパッパーでさ。さて、ご隠居さん、次の六つの違いを明確に述べてくだせぇ。1.グループホーム、2.グループハウス、3.グループリビング、4.コーポラティブハウス、5.共同住宅、6.下宿」
「さては、お前、うまく人を乗っけて、口頭試問しょうって腹だな」
「ご隠居さんこそいちゃもんをつけて、答えないでごまかそうって腹でがしょ。ま、いいや、年寄りに恥をかかすのは紳士のたしなみじゃねえ、あっしが答えを申しやしょう。グループホームってのはグループのホーム。グループハウスってのはグループのハウス」
「共同住宅ってのは共同の住宅。じゃ、コーポラティブハウスば?」
「えっと、コーポラの住む家」
「そりゃ、キューポラのある街だろうが」
「じゃ、何なんで?]
「グループハウスを気取っていったものさ。アパートをマンションというがごとし」
「つまんねえ。これで全部わかった」
「ちっともわかっちゃいねえ。リビングは暮らし方に中心があるし、ハウスは建物に中心がある。ホームはその真ん中ぐらいだが、どのいい方も、同じことをいおうとしていて、いいたいことをぴったりと表現できていねぇ。そこに混乱の原因がある」
「それそれ、ちょっと知ってると思ってすぐえらそうないい方をするのがご隠居さんの悪い癖でさ。まだまだ修業が足りねぇ」
「こりゃ参った、参った」
「じゃ、ご隠居さんは、一から六まで違いはないとおっしゃるんで?」
「そうじゃなくて、この頃わざわざグループホームとかグループハウスといい出したのは、ただ、何人かの人が集まって暮らす建物というだけのことじゃねえ。それなら下宿だって寮だって共同住宅だっていいわけだ」
「そりゃそうだ。で、何なんで?」
「自立とふれあいだよ。それぞれが、できるだけ自立して暮らす。そのうえで、ふれあい、助け合う。ふれあうってのは、心の交流、精神的な助け合いだ」
「それって、人の生き方そのものの話のような気がしやすぜ」
「そのとおり。これまでは、人が築くもっとも親密なふれあいの場が家庭だった。それを、血のつながりはなくても、縁を結んだ人々の間で、ふれ