では物を読んでおりましたし、それを少しずつ自分の形で噛みくだいて書いて、きちんと家系なども整理してくれました。母も死ぬ前までいろんな思いの句をつくって句集を出して死にました。そういうものを持ってくれてますと子供は楽なんですよね。くよくよして、死ぬのが怖いとか、あそこが痛いとかやられますと、周りの者がまいります。
守屋 そういう意味では、今は死に方のむずかしい時代ですね。私は東北の田舎の村に育ちましたが、子供の頃、祖父母が死んでいった。その死に方というのは、自分の家で家族が面倒をみて、「今晩あたりもう危ないぞ」と知らせが親戚縁者に回るんです。そして駆けつけてきた大勢の肉親に見守られて自分の家で死んでいけた。あれは今考えますと、いい死に方だったんだなあと。
堀田 本当にそうですね。
守屋 今のように、大都会に住んでいますと、たぶんその辺の薄汚い病
