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憤(いきどお)りを欲して食を忘れ

楽しみて以って憂(うれ)いを忘れ老いのまさに至らんとするを知らず──孔子

 

堀田 中国古典の中には、本当にそうした人生の見本となる人、教えが数多くありますね。

守屋 こうありたいなあと思える人たちが何人も出てきます。特に人生後半の生き方。その一人が孔子です。この人は、えらい人だということで何となく取っつきにくいイメージがありますが、非常に苦労人なんですよ。生まれも育ちも非常に貧しい家でね、世の中に出ていく上でもなかなかチャンスがつかめない、ほとんど浪々の生活だったんです。

堀田 「論語」に代表されるように、非常に聖人君子的なイメージがありますが、実は、いくつになっても自分のしたいことを持って、それに夢中になって若々しい気持ちで人生を歩んでいた人ですね。

守屋 そうですね。死んだのは七四歳ですが、二五〇〇年前の七四ですから、今なら一〇〇歳を過ぎています。それでも生涯現役、非常にやる気を燃やして自分の人生を生き抜いていった。こういう点を私自身、見習いたいなあと。

堀田 「老いのまさに至らんとするを知らず」ですね。いったい孔子にとってその原動力は何だったんでしようか?

守屋 二五〇〇年前の昔ですから、世の中で認められていく道は政治ぐらいしかないんですよ。だから政治に志した。えらくなろうというのももちろんあったのかも知れませんが、それよりも何とかいい社会を実現しようという目的、理想心を持っていたんですね。目標があって、その目標

 

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