リーダーたちが村を駈け回る
村ではパソコン指導のために、各集落ごとに有志を募り、総勢四五人のパソコンリーダーを組織した。まず、リーダー向けの講習会を行い、リーダーは自分の受け持ち地区の要請に従って、各家庭まで出かけて指導するのである。これが思わぬ相乗効果を生んだ。
「私も主人もずっと山田村の人間だけれど、学校も勤めも富山で、ほとんど近所付き合いなんてしたことがなかったんです。せいぜいあいさつを交わす程度、名前もろくに知らなかったほど。それがパソコンリーダーに選ばれて一変しました」こう答えてくれたのは、谷井美智子さん。
山田村では、ほとんどの家が居間にパソコンを置いている。教えに行くと、まず居間に上がって世間話をして、というパターン。玄関口で回覧板を渡すだけの付き合いではわからなかったいろんなことが見えてきたという。谷井さんに限らず、パソコンがきっかけで地域との絆を強くしたという人は多い。
若い世代がお年寄りにパソコンを教え、お年寄りからは生活の知恵を授かるということも、あちこちで頻繁に行われるようになった。役場では、地域の住民をこの事業にリーダーとして委託した時点で、こうした波紋の広がりをある程度予想していたという。

現役学生さんの(左から)天野伸治さん、黒川雅代子さん、伊東裕揮さん。北陸の電脳村にどんな感想を持ったのだろう…。