三千万円ほどの補助金が出たものの、一般会計予算二七億六千万円の八割以上を国の地方交付税などに依存する村としては、それこそ清水の舞台から飛び降りるほどの覚悟が必要だったに違いない。いくら補助が出るにしても並大抵にできる事業ではないからだ。
よほど先見の明のあるリーダーが計画的に地域の高度情報化に向けて練り上げたプランと思われたが、実は瓢箪から駒、意外なところからこの事業ははじまっている。
山田村では当初、この事業を観光客誘致に役立つ電光掲示板造りに役立てたいと考えていた。ところが国は、ホストコンピュータやパソコン研修室などを備えた情報センターを地域につくり、生涯教育や福祉事業に役立てたいとの意向を示したのである。村は補助金を断念したが、県は、「今なら希望する自治体が少ないから、事業内容を変更してでも補助金をもらった方が得策」と強くアドバイス。さまざまに討議を重ね、結局、山田村では事業内容を変更し、国の指定が確定した。

"パソコン村"の中枢ともいえる情報センター。公民館や図書館の建物に、昨秋増築された。

情報センターを担当する若杉さん。