お助け隊がやってきた
「いやあ、うちの前の河原にこんなにたくさんのギャルの水着姿があふれたことなんて、開びゃく以来じゃないの!」。小向俊雄さんはうれしそうに目を細めた。いきなり不謹慎なようだが、大まじめな話なのだ。
ここは富山県山田村。富山市からバスで一時間足らず、富山空港からだと車で約三〇分という距離にありながら、典型的な高齢過疎の村。人口は年々二〇人ほど減少し、住民の四人に一人が六五才以上。標高一〇〇〜一〇〇〇メートルの山峡に、戸数四五〇、約二〇〇〇人が暮らしている。稲作とジャガイモ栽培を中心にした農業が村の基幹産業だが、九六%が兼業農家。観光資源として温泉とスキーがあるものの、これからの村を担っていくところにまでは至っていない。
そんな中で、なぜ突然若い女性が集まったのか。いや、集まったのは女性だけではない。ひと夏に全国から七〇名を超す大学生がやってきたのだ。
かれらは人呼んで『パソコンお助け隊』。山田村の住民にパソコンを教えるために、夏休みの一部を返上して駆けつけたのである。しかも報酬がないどころか、交通費も滞在費もすべて自前。誰かに頼まれたわけでもないし、これまで山田村に縁があったわけでもない。さらに驚くことに、山田村に来るまで集まった学生たち同士の横のつながりもないに等しい。まさにナイナイづくし。
だが、彼らはやって来た。そして一〇日間、村内の各家庭を回りパソコンを指導し、住民と親睦を深め、それぞれの大学のある街へ帰って行った。
情報ってナンだ?
ことの発端は二年前に遡る。山田村は平成七年度の国土庁が過疎対象の補助事業として打ち出した「地域情報交流拠点施設整備モデル事業」に指定されたことを契機に、昨年七月から村内の希望する家庭にテレビ電話機能付きのパソコンを貸与したのである。役場が配付したパソコンは、一台三五万円の最新鋭機三二〇台。国と県からは一億