ったですよ」と微笑む吉明さん。間もなく、結婚五年目を迎えようとする熟年カップルとは思えない、アツアツぶりである。
「自分たちでも、驚くくらいスムーズに結婚できた」という石渡夫妻だが、それでも、まったく問題がなかったわけではない。
実は啓子さんには、八〇を過ぎて、山口県で一人暮らしをしていたお母様がいる。今までは、啓子さんが東京と山口を行ったり来たりして対処してきたが、結婚すると、そうたびたび家を空けるわけにもいかない。自分一人幸せになっていいものか。そのことを吉明さんに相談すると、「だったら、三人で暮らそう」ときっぱり。このひと言で、すべての障害がクリアされ、今では、それぞれの子供たちも頻繁に家に遊びにやって来るなど、実に円満な家族関係を築き上げている。「もう、年金生活に入っていますから、贅沢はさせてあげられない。それでも、月に一度は旅行に行ったり、近くの公園を散歩したり、共通の趣味であるカラオケに行ったり……。どこに行くのも、何をするのも二人一緒。まあ、このまま元気でのんびりと暮らしていければ、それが一番ですね」(吉明さん)
幸せを刻んだ二人のアルバムも、もう二〇冊を超えたという。
ケース3 家族の反対を説き伏せられず通常の結婚は見送ることに
石渡夫妻や北爪さん・K子さんとは違って、入籍・同居を前提としない生活を選択したカップルが、Sさん(八〇歳)・U子さん(七二歳)。取材の申し込みは快く受けてくださったが、残念ながら体調を崩されたため、今回は直接詳しい話は聞けなかった。現在二人は、お互い、今まで通りの暮らしを続けながら、月の三分の一だけを熱海のケア付きマンションでともに過ごす"半同棲"の生活を送っている。お二人を取り持った太陽の会の北川会長によれば、家族の反対や財産問題などが複雑に絡み合って、折り合いがつかなかったからだという。「もう少し若ければ、時間をかけて説得もできたんでしょうが、残された時間が惜しいということで、ご家族と歩み寄って出した結論が、こうした変則結婚だったようで