本来の仏教の姿が現代日本人の心を癒す
電話相談で最も大切なことは、絶対に腹を立てないことと、そしてこちらから結論を出したり意見を強いたりしないこと、とにかく聞き役に徹することだという。心の問題を抱えている場合、ほとんどが自分の気持ちを理解してほしい、共感者がほしいという人たちで、だれかに親身に聞いてもらうことで、ある程度気持ちの整理がつくのだという。また医療相談の場合は、医師ではないので治療の指示につながるような発言は控え、あくまで正しい医療情報の提供が前提で、情報過多や治療ミス、不適切な医者選びなどの被害をなくすためのアドバイスをするにとどめる。
「一般の電話相談ではカウンセラーが匿名である場合が多いのですが、ダイヤルフレンドでは夫婦でやっていることをオープンにしていますので、相談者と人間的な関係を築きやすいようです。相談者は名乗りたければ名乗ればいいし、特に聞いたりしません。電話だから、知らない相手だからできる相談もたくさんあるわけですから。こちらもかなり思い切ったことがいえますけれど、いつも一般論ではなく、自分の問題としてとらえるようにしています」(武治さん)。
ダイヤルフレンドが開設されたのは、高度経済成長で世の中が狂乱し、さまざまな弊害が取り沙汰された時代。寄せられる相談は、空虚さを訴える主婦や嫁姑問題、教育問題などが多かった。バブル経済に踊り、さらにそれも崩壊した今、時代は社会に大きな影を落とし、さらなる歪みを引き起こしている。不登校やいじめ、老人問題など相談内容の端々から世相が浮かび上がる。また最近では医療の発達とともに、ガンなどの末期医療をはじめ、患者や患者の家族へのメンタルケア、病院のメインテナンスやサービスなど医療の質を問う相談も増えているという。
なかには開設当時から、折に触れて人生のさまざまな問題を相談してくる"常連さん"もいる。相談者の高齢化とともに、夫の浮気、夫の死による寂寞感、相続、老後の扶養など内容は刻々と変化。会ったこともない人の人生の断片が、電話を通じて伝わってくる。
「今、日本の仏教は理論に偏り、お寺の最大の収入源である葬式や儀式にばかりとらわれて、本来の役割を果たしていません。かつて