―最終回 No.5
ないしょのつぶやき
本間 郁子
特別養護老人ホームに暮らすお年寄りの心うち
「息子夫婦と一緒に暮らしていても淋しくて、ある日、自殺を図った…」
五回連載ではじまった「ないしょのつぶやき」が、今回で最終回を迎えました。今回は、みなさんにぜひお伝えしたいお話を書きたいと思います。
Sさん(女性)は、現在八二歳。五六歳の時に夫が亡くなり、その後は、小さな畑を耕しながら一人暮らしをしていたが、二年ほど経った頃、家から一時間半離れたところに住む息子からの「部屋もあるから一緒に住もう。その方が安心だし、孫とも遊べるし」という親切な言葉に動かされ、思い切って息子家族と同居することにしたという。Sさんはいう。
「一緒に住んでみると、息子夫婦は共働きでいつも忙しく、ゆっくり話をする時間もなかった。でも、孫は五歳と二歳でいろいろと手がかかり手伝うことはたくさんあって気は紛れた。息子たちは助かると喜んでくれたし、私は役に立つことができてよかったと思った。ところが、孫たちが小学校へ行きはじめると、昼間は一人だけになってしまった。学校から帰ってきて、おやつを食べるとすぐに友だちと一緒に遊びに出てしまい、五時ごろにならないと戻らないようになった。
私は目が悪く、片方の目は全く見えないので、