原則はかたくなに、戦術は柔軟に
まず、公的介護保険は介護の分野をすべてカバーするものではありません。「介護保険」ですから、介護の分野においてはそれなりにサービスがされても、「家事援助」や「心のケア」はほとんどカバーされません。介護についても、現在想定されているサービスでは一人暮らしの場合には"おむつ"生活にならざるを得ない程度のものです。
従って、これまでのボランタリーな助け合いの活動はまだまだ必要であり、というより一層充実したものにしていかなければならないのです。次に団体の運営資金についてですが、「指定居宅サービス業者」になれば、ボディータッチの介護の場合には一時間当たり三〇〇〇円程度の委託費を想定しているので、現在一時間当たり五〇〇円〜八〇〇円程度でサービスを提供している団体にすれば大変うらやましいものです。
しかし、ちょっと立ち止まって考えてください。市民互助型団体は「お金」儲けのために活動するのですか。そうであれば、現在でも家政婦紹介所や民間営利会社によるホームヘルパーの派遣会社があり、そのような営利業者として活動すればよいのです。
みなさんが苦労をしてボランティア活動をされているのは、このような助け合いが地域社会に必要であると考えられていらっしゃるからではないのでしょうか。公的介護保険が実施されても、この分野はますます重要になり必要になるのです。多くの団体が「指定居宅サービス業者」となって、地域にボランティア活動がなくなってしまうと暗たんたる老後を送る人が多く出るということでしよう。
結論をいえば、市民互助型団体はそれまでのボランティア活動を発展させるという原則にはかたくなにこだわってください。その上で、資金稼ぎに「サービス業者」の部門を団体のなか、あるいは外に持つということは、戦術として柔軟に対処してください。本末転倒にならないことが肝心です。
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