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ロランC地中海チェーン

(SELS)の現状と将来展望

イタリヤ・コーストガード

Commander Vito MINAUDO

 

要 約

この論文の著者は、 トルコ、スペイン、イタリーの各国に設置されたロラン局が、米国コーストガードの手を離れ、それぞれの設置国に移管後の地中海のロランCシステムの状況、更に局移管を受けた各国がその運用の再開に向けてどのような努力をしてきたかについて論じるつもりである。

それに加えて、このような現実に対処し、地中海全体をカバーするロランシグナルの回復を目指して設立される新たな機関の構造を示し、それぞれの局の適切な管理と維持並びに不足部品の取替え、修理、機能の改善について述べる。

関係各国がロランシステムを2010年迄維持したいという意向を示したので、実質的に存在価値をなくしている局に代えて、何らかの新しい方法を見出そうという考えが強まっている。

局の閉鎖ということが目前に迫り、その結果SELSも消滅するのではないかという危機感が、関係各国に拍車をかけ、様々な会議が開かれるようになった。新たな作業グループが設立された。彼らは海上における生命の安全性の向上という古くからある議題について論じつつその一方ではロランCとチャイカの結合についても検討した。

SELSが設立されたのは'92/143/EECの決定によるものであり、その場で、旧式の送信機をソリッドステートの送信機に格上げすることと、新しいチェーンの配置とが検討されそして北アフリカの諸国が内陸の航法に大きく貢献できる可能性がわかった。

 

始 め に

1988年の6月16・17日に、イタリアの運輸省のMr.Gianni Prandiniは米国の運輸次官のMrs.Mimi Weyforth及び海上環境科学問題を担当する国防次官補のMr.Frederick Brenthalと会議した。

その時中心となった議題はロランCについてであり、その運用の継続性と、米国とイタリアコーストガード間の協力についてであった。その目的は海上における生命の安全向上とロラン各局がホスト国の手に委ねられた後のサービスの継続性であった。

1998年にはPetalumaにある米国コーストガードの研修センターでイタリア人のオフィサー数人が訓練を受け、それに続いてそのオフィサーの手により、後にイタリアのロラン各局のオペレーターとなる要員全員の教育が行われた。

長期にわたる現場研修がSellia MarinaとLampedusaの各サイトで開始され、その後間もなく我が国はロランに関連する全ての局が必要とする人数のオペレーターを満たすこととなった。

1994年の11月17日になって初めて、米国政府からイタリア政府への施設の移管の為の契約がイタリア政府を代表するMr.Roberto Nigidoと米国政府を代表する

 

 

 

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