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における意志決定が手元でなされ、その結果としてヨーロッパ委員会がヨーロッパ航法システムの地上の構成要素の開発のプロセスに現在よりもっと直接的に介入できるようになることが望ましい。

 

将来の展望

最近の技術的進歩の結果、ロランCはヨーロッパにおける未来の混合システムにおける地上の要素として大きな可能性を持っていることが分かった。混合システムが目指すインテグリティ、利用可能性、冗長性及びサービスの継続性はロランC抜きでは考えられなくなっている。

私の将来の見通しではロランC(チャイカ)システムがヨーロッパ大陸全体をカバーし、ロランCの基本サービスとEurofixデータ(インテグリティのメッセージと衛星による校正)を送信し、そして基礎的な衛星サービス(GNSS)や衛星拡大システム(EGNOS)と連携して運用するようになると思う。

NELSの内部で行われたEurofixの実験によると、ロランC/EurofixがEGNOSの地上におけるインフラとして運用上も経済的にも優れた適性を持っていることを示している。それに加えて、私はIALAのラジオビーコンによるDGPSのサービスが引き続き狭い海域や港への接近に際して、副冗長的なシステム機能の拡大を実現する可能性があると見ている。

どうしたらそれに到達できるであろうか?出席の方々の中には、今年6月にモスクワで開催された第2回国際電波会議の結論の草稿を思い出される方もあろうかと思う。

そこには次のような内容の一文があった。即ちマルチモードの地球全体をベースとする電波航法計画が必要であり、それには既存及び可能性としての全ての航空、海上、陸上その他の用途の電波測位サービス間の連携と調整との方策を盛り込むべきであるという内容であった。

この結論に沿って、ヨーロッパ連邦では会議を主催することに同意し、その会議では電波航法システムとサービスに関し世界中で行われている様々な活動を調整する為の積極的努力を支持することとなった。

これはNELS思考方法と完全に一致している。そして私はこの機会を利用してこのような協力には米国も参加してくれるようにお願いしたい。資料の配布リストには大西洋のこちら側の方々の住所が間違いなく明記されることになるであろう。航法システムを地球規模で調査する作業はヨーロッパが行うべきものと私は思うが、その前に我々は我々自身の地域的調整をもっと改善しなければならないであろう。

今日、ここには沢山の関係者が出席しておられる。米国はGPSを運用し、ロシアはGLONASSを運用している。ESAはECNOSの開発に参加し、後にその建設を行った。IALAのラジオビーコンDGPSシステムを運用している各国の当局も居る。極東ロランCシステムを運用するFERNS、北西ヨーロッパロランCシステムを運用するNELSそしてヨーロッパチャイカシステムを運用するCISも参加している。可能性としてはSELS(南ヨーロッパロランCシステム)とEUの役割が高まっており、地域として全てのシステムとインフラ全体を担っているだけでなくローカルな開発活動も行っている。今日では資源がひとつの解決方法を促すことに使用されながら、別の解決方法に対しては戦いを挑んでいる。皮肉なことには全てのキャンプに同一の国々が代表を送り、互いに牽制し合っていることである。

その結果、最後には全ての活動にその同一の国々が資金を提供する結果になっている。私はここにこそヨーロッパ委員会の重要な役割を見出している。我々はこの委員会を必要としている。それはリーダーシップを取る為にであり、そして互いに力を合わせる為にである。

 

 

 

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