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ヨーロッパにおけるロランC

NELSの見解による現状と展望

 

NELS調整局局長  Terje H.Torgensen

 

要  約

この報告書は、NELSの現状に関するものである。NELSが実施に移されたのは1992年のことであるが、このシステムが完成したと言える迄には、まだまだ幾つかの要素を追加しなければならない。

私はその他にヨーロッパにおける重要な政治的展開についても報告したいと思うし、NELSの内外におけるロランCの発展とシステム機能向上の為の活動についても報告するつもりである。最後に、私はロランCが将来のヨーロッパにおける混合システムにおいて大きな役割を果たす為にその機能を向上させるにはどうしたら良いかについて見取り図を描いてみたいと思う。

私のこの見通しは個人的な見解であって必ずしも公式のNELS政策を反映するものではない。

 

始めに

 

GPSに関する検討作業は1970年代に始まった。そのシステムが実際に設置されたのは1980年代のことであり、1990年代になって運用の開始が宣言された。そして極めて短い間に、測位、その他を目的とするプライマリーな援助施設として広範囲に採用されるに至った。ある人々にとっては、GPSは安全な航法の為に必要とされる唯一の援助施設とみなされた時期もあった。

しかし電波航法の専門家の間では、いくつかのシステムを適切に組合せてインテグリティー(integrity)、利用可能性、冗長性及び連続性において満足の行くサービスを提供できるようにすることはどうしても必要であった。そして少なくともヨーロッパでは幸運にもGPSの利用が成熟するにつれて複数のシステムの必要性がより広範に認められるに至っていた。NELSの調整に当たる局では衛星のシステムと組み合わせてロランCを利用することに関心が高まるという形でこれを捕らえていた。

一方ではヨーロッパの政治家と官僚は、将来に向けて精度と信頼性の高い航法と測位の援助施設の必要性についての様々な要請に応えることのできる適切な混合システムについての必要条件を採択するに至った。その結果、ヨーロッパ電波航法計画(ERNP)が起草され、近日中に合意が得られる見通しとなった。この文書の中で、ロランCはヨーロッパにおいては将来大きな役割を果たすことが予想されている。それは衛星システムのサービスを補完する卓越したサービスを提供するばかりでなく、そのサービスを施設建設においても運用においても非常に経済的に提供するものであることが期待されている。

 

 

 

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